英文誌のアクセプトがほしいなら、押さえるべきはココ! 臨床論文の書き方
著 | 河井昌彦 |
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京都大学医学部附属病院総合周産期母子医療センター・病院教授 |
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査読者の心をつかむなら、押さえるべきはココ!
内容紹介
大学病院で忙しく働く著者が、日々の診療・様々な講演などもこなしつつ、どのように臨床研究のテーマを見つけ、研究を進め、論文を書いているのか。
自ら論文を投稿することはもちろん、長年、国内外を問わず多くの論文の査読を行っている著者が海外留学で学んだ英語圏の人々の考え方、議論の仕方、報告書の書き方などをもとに、査読者に選ばれる論文を書くコツを1冊にまとめました。
序文
本書は、臨床研究論文を英文誌に載せるためのノウハウを伝授するために、日ごろ、京都大学医学部附属病院で働いている若き新生児科医たちと実践している「臨床論文の書き方」を活字に置き換えたものです。
私の英文誌デビューは医師4年目(1990年)のことで、“The syndrome of Möbiussequence peripheral neuropathy and hypogonadotropic hypogonadism.”という症例報告が American Journal of Medical Geneticsに載りました。当時は、パソコンはおろかワープロも普及していなかった時代でしたので、レポート用紙に鉛筆で原稿を書き、私が京都大学小児科に入局した時に病棟医長を務めておられた百井亨先生(京都大学から日本赤十字社和歌山医療センターに赴任され、病院長も務められた私の恩師です)に、何度も何度も指導を受けました。やっとの思いで投稿にこぎつけたことを、昨日のことのように覚えています。
たった1例の症例報告ですが、当時、メビウス症候群に中枢性性腺機能不全を合併するということはあまり知られておらず、これが世界で4例目の報告でした。その数年後、この論文が現在のOMIMの原型であるマキュージック・カタログに取り上げられ、メビウス症候群の重要な合併症の一つに中枢性性腺機能不全があると記載されたとき、症例報告を英文で書くことの意義を実感した次第です。
本書は、症例報告ではなく、臨床研究を上手く論文化するということに焦点を絞っています。ここに書いたことの多くは、1997〜2000年CanadaのUniversity of British Colombia Pharmaceutical Sciencesに留学した際に、Dr.Bellwardおよびそのラボの研究者たちから教わったことをベースにしています。Dr.Bellwardはカナダ人です。彼女は自分たちのことを“North American”と呼んでいましたが、そのラボでNorth Americanのものの考え方、議論の仕方、そして報告書の書き方などを数多く、教わりました。もちろん、その頃の私は基礎医学に邁進していましたので、臨床論文の書き方を直接教わったわけではありませんが、論文の書き方の多くは基礎研究・臨床研究に共通するものと思います。
私を指導してくださったCanadaの研究者達から受け継いだ教えを、紆余曲折・試行錯誤を重ねて、私流にアレンジして編み出したのが、河井流「英文誌にAcceptされる臨床研究論文の書き方」です。文章術ではない、を、皆さんに伝授したいと思います。
ぜひ、ご一読ください。そして、ぜひ臨床研究を始め、それを論文にしてください。
2020年11月
京都大学医学部附属病院
総合周産期母子医療センター
河井昌彦
目次
Chapter 1 臨床研究をしよう!
1 臨床研究の勧め
2 OODAループをまわそう!
3 研究のデザインを決めよう
4 研究を意識した診療をしよう
Chapter 2 論文を書き始める前に、査読者の気持ちを知ろう!
1 表題名(Title)
2 要約・抄録(Abstract)
3 結果(Results)
4 方法(Methods)
5 序文・導入(Introduction)
6 考察(Discussion)
7 まとめ(査読者の心をつかむには?)
Chapter 3 臨床論文を書こう!
1 Resultsから書き始める
2 Methodsを書く
3 Discussionを書く
4 Introductionを書く
5 Referenceを付ける
6 Abstractを書く
7 Titleを付ける
8 仕上げ
9 Cover Letterを作る
10 英文校正
11 投稿、その後…
Chapter 4 臨床論文を書く意義について語ろう
1 私の経験
2 英語論文業績集