NICU ベッドサイドの診断と治療
第5版
初めてNICUに勤務する医師・看護師がまず手に入れるべき1冊
内容紹介
本書は、初めて新生児を間近に見て、恐る恐るその小さな身体に触れ、命の尊さ・不思議さを感じつつも、途方に暮れてしまっている… そんなNICU初心者である研修医・看護師の方々のために本を書きたいという著者の強い思いからスタートしました。
そんな著者の思いを込めた本書は2003年の初版発行以来、改訂を重ねた人気シリーズとなり、このたび第5版を発行することができました。
今回の改訂では新たに3名の執筆者を迎え、ガイドライン・診療指針の改訂に伴うアップデートを行い、また現在の京都大学NICUにおいて実際にどのように診療が行われているか、現場により近い目線で書かれており、これまで以上に実践的な内容となっています。
長年、京都大学医学部附属病院にて新生児の診療に携わり、また多くの後進の育成に励む著者が、専門性の高いNICUにおいて、実際の診療に携わることを想定し作った即戦力を育てるマニュアルです。本書が新生児の診療に携わる読者の一助となり、また新生児診療の魅力を伝える1冊になることを願っています。
序文
本書の発刊は2003年、私の娘たち(双子)が生まれた年でした。その子たちも、今年、立派に成人式を迎えました。この約20年の間に新生児医療も多岐にわたり、またそれぞれの分野の専門性がますます高くなり、私一人が語るのは荷が重いと感じるようになりました。そこで、今回は、京都大学医学部附属病院NICUのスタッフ3名にも分担執筆してもらうこととしました。
第2章 超早産児の管理(友滝・花岡・荒木)
第3章 呼吸器疾患の管理(荒木)
第4章 循環の管理(花岡)
第6章 中枢神経系の管理(友滝)
第7章 感染症の管理(花岡)
現在の、京都大学NICUの実際の診療が、現場により近い目線で書かれており、これまで以上に実践的な書になったと思います。是非、ベッドサイドで診療に役立ててください。
私の担当した分野に関しても、かなり大きな改訂をしました。第4版出版後に改訂されたガイドライン・診療指針は、なるべく取り入れたつもりですし……
京都大学NICUにおける、日々の診療、定例のカンファレンス・輪読会・読書会などを通して、私の知識もより整理されました。この間の、私の「成長」を感じ取っていただけるものと確信しています。
本書が、新生児診療の一助となること、そして、新生児診療の魅力を感じる1冊となることを念じています。
令和5年2月
京都大学大学院医学研究科新生児学講座 特定教授
河井昌彦
目次
第1章 総論(河井昌彦)
1 研修の心得
2 小児科医の立ち会いを要する分娩
3 仮死の蘇生
4 入院時ルーチン
5 入院中ルーチン
6 新生児の診察の仕方
第2章 極低出生体重児の管理(友滝清一、花岡信太朗、荒木亮佑)
1 入院にあたって
2 急性期の呼吸・循環管理
3 亜急性期・慢性期の管理
4 未熟児網膜症
第3章 呼吸器疾患の管理(荒木亮佑)
1 呼吸管理の実際
2 無呼吸発作
3 新生児一過性多呼吸(TTN)
4 胎便吸引症候群(MAS)
5 肺出血・出血性肺浮腫
6 エアリーク
7 新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)
第4章 循環の管理(花岡信太朗)
1 循環管理の基本
2 先天性心疾患の管理
第5章 輸液・栄養の管理(河井昌彦)
1 経静脈栄養
2 経腸栄養
3 低Na血症・高K血症
第6章 中枢神経系の障害と管理(友滝清一)
1 新生児発作
2 新生児仮死の蘇生後の管理と脳指向型集中治療
3 頭蓋内出血
4 脳室周囲白質軟化症(PVL)
5 頭部エコーの撮り方
6 聴性脳幹反応(ABR)
7 その他の中枢神経奇形
第7章 感染症の管理(花岡信太朗)
1 ハイリスク児の感染予防
2 細菌感染症
3 真菌感染症
4 ハイリスク児に対するパリビズマブの投与
第8章 黄疸の管理(河井昌彦)
1 黄疸
第9章 血液疾患の管理(河井昌彦)
1 未熟児貧血
2 多血症
3 血小板減少症
4 DIC(播種性血管内凝固)
5 ビタミンK
第10章 消化器疾患の管理(河井昌彦)
1 新生児メレナ(新生児出血性疾患)
2 胎便栓症候群、胎便病
3 壊死性腸炎
4 消化管閉鎖症
5 腸回転異常症
6 ヒルシュスプルング病
7 先天性横隔膜ヘルニア
8 臍帯ヘルニア
9 腹壁破裂
10 消化管造影検査
第11章 腎・泌尿器疾患の管理(河井昌彦)
1 急性腎不全
2 腎・尿路系のエコーの撮り方
第12章 合併症を持つ母から出生した児の管理(河井昌彦)
1 代表的なウイルスの母子感染
2 主な母体合併症と新生児の管理
3 多胎
第13章 代謝・内分泌疾患の管理(河井昌彦)
1 性分化疾患
2 低血糖症
3 低Ca血症・早産児骨減少症
4 早産児の低サイロキシン血症の取り扱い
5 先天性代謝異常症
6 アミノ酸分析の見方
7 マス・スクリーニング検査
第14章 染色体異常症(河井昌彦)
1 染色体異常症
2 染色体分析・遺伝子検査の種類
3 新生児期に診断可能な染色体異常症
略語一覧
索引