全く英語が話せなかった私のとっておき医療英語勉強法
私にもできる? 全く英語を話せない人が効率よく医療英語を習得・勉強する方法を披露!
内容紹介
今回こそは英語をものにするぞとやる気を出しても、なかなか続かないというそこのあなた! どうせ私にはできないと最初から諦めているそこのあなた! 医師、医学生、薬剤師、看護師、いろいろな立場から、どのように医療英語を勉強しているかを紹介します。勉強法は人それぞれです。そんな勉強法があったのか、これなら自分にできるかも、と自分に合った英語学習法が見つかるはずです。
序文
この本を手にとられた皆さんは、きっと英語をマスターしようという高い志を持った人が多いことでしょう。私自身も、「いざ始めよう」と思った時には高い志がありました。しかし、問題はそこからで、それを維持することがなかなかできませんでした。複数の英語教材を手にとってみたり、NHKの『ラジオ英会話』を始めてみたり……。初めは新鮮で、面白いと感じられるものの、すぐに飽きてしまい、モチベーションが下がってしまうものでした。
英会話スクールに行ってみたこともありましたが、そこで行われる「日常」英会話は、あまりに自分の「日常」とかけ離れており、それが自分にとって有用であるという実感を持てませんでした。
その当時を振り返ってみると、あまりに計画や戦略がなく、また勉強する目的もはっきりと見えていなかったと思います。自分に合った方法を見つけるまでに、とても時間がかかりました。
英語学習に興味を持ち始めたのは、大学に入学した18歳の頃でしたが、結局自分に合った勉強法に辿り着けたのは、30歳になってからでした。実際、それに出合ってからは、習得が早かったと思います。「たられば」を言っても仕方ありませんが、そんな出合いが18歳の頃にあれば、人生はもっと違うものになったのだろうかと思うこともないわけではありません。
「学問に王道なし」は、英語学習においてもまさにその通りだと思います。「最強の勉強法」を謳う書籍も散見されますが、それは著者にとっての最強であって、あなたにとっての最強を保証するものではありません。あなたにとっての最強は、あなたにしか見つけられないのです。だからこそ、出合うのが難しいのだとも言えます。
それを見つける手助けになるのは、過去に苦労して夢をつかんだ人たちの経験だと思います。同じ苦労を繰り返す必要はなく、過去の人から学べば良いのです。ただ、医療者は医療者なりの悩みやライフスタイルがあり、広く一般の話が当てはまるわけではないかもしれません。
本書は、そんなところに手が届くものにしたいという思いで作りました。
第1章では、医療の外側からも参画いただき、英語学習およびグローバル人材育成のプロフェッショナルから、英語学習のエビデンスや学習に求められる姿勢について解説いただきました。また、「なぜ医療者は医療英語から学ぶ方が効率的なのか?」についても解説を試みました。
続く第2章では、日本で生まれ育った人がいかにして英語を身につけ、欧米の医療現場などで活躍するまでに至ったのかに迫ります。その過程で得られた英語学習の知見は、きっと参考になるはずです。また、医師だけではなく、看護師や薬剤師、現在進行形で渡米を夢見て頑張る医学生、日本国内で活躍する医師にも執筆をいただき、より多様なニーズに応えようとしました。
さらに、それぞれの読者のライフステージや働き方に合った勉強法が見つかる手助けになればと、それぞれのCaseに英語学習のタイムラインや1日のスケジュール、学習教材の表をつけました。
筆者が思い思いに書いたそれぞれのCaseを見比べる中で、勉強法は本当に多様なのだということに気がつかれると思います。その一方で、「成功する人の共通項」も見出すことができるかもしれません。もしかすると、その共通項は、あなたの成功にとっても、必要なことかもしれません。そんなふうに、多様なケーススタディを学んでいくことで、「こんな方法なら自分に合いそうだ」と思われるものが見つけられるでしょう。
本書から「私のとっておきの勉強法」を見つけ出し、自分にぴったりの勉強法を確立して、身につけられた英語とともに、国際舞台で活躍する医療者が一人でも生まれることにつながれば、望外の喜びです。
2023年3月
マウントサイナイ医科大学
Medical English Hub(めどはぶ)代表
山田悠史
目次
執筆者一覧
序文
第1章 総論
Section1 英語学習の基本と習慣化……海渡寛記
最高の英語学習方法とは
英語学習のモチベーション
学習の習慣化
Section2 英語学習の姿勢や心持ち……豊田圭一
「英語ができる=仕事ができる」ではない
英語は簡単な言語だから世界に広がった
I speak.You understand.
最善を尽くす
Section3 医療英語は近道、日常英会話は遠回り?……山田悠史
医療英語学習から始めた方が良い
医療英語の学習に王道なし、自分に合った方法を見つけよう
Column 英語の資格試験について
第2章 私の医療英語勉強法
Case1 アプリやオンラインツールを駆使する……原田洸
私の英語学習歴
私の英語学習時間
私の英語学習教材
Column 渡米に必要な準備
Case2 英語を好きでいつづける……河野裕志
私の英語学習歴
私の英語学習時間
私の英語学習教材
Column アメリカの手術室
Case3 隙間時間に好きなものばかりする……山田悠史
私の英語学習歴
私の英語学習時間
私の英語学習教材
Column アメリカでの面接の乗り切り方
Case4 自分の頭の中だけでも英語学習はできる……松浦有佑
私の英語学習歴
私の英語学習時間
私の英語学習教材
Column アメリカのレジデンシーの様子
Case5 ながら勉強で英語を生活の一部に……仁科有加
私の英語学習歴
私の英語学習時間
私の英語学習教材
Column イギリスの国家試験
Case6 41歳からの英語学習……近澤研郎
私の英語学習歴
私の英語学習時間
私の英語学習教材
Column 英語圏の学会を乗り切り方
Case7 薬剤師の英語学習……小崎彩
私の英語学習歴
私の英語学習時間
私の英語学習教材
Column アメリカで薬剤師になる道筋と薬剤師国家試験
Case8 看護師の英語学習……ヤング麻代
私の英語学習歴
私の英語学習時間
私の英語学習教材
Column 看護師の国家試験
Case9 医学生の英語学習……小松大我
私の英語学習歴
私の英語学習時間
私の英語学習教材
Column USMLE
めどはぶの紹介
プロフィール
執筆者一覧
■編著
山田悠史 マウントサイナイ医科大学 老年医学科 アシスタント・プロフェッサー/Medical English Hub(めどはぶ)代表
■協力
Medical English Hub(めどはぶ)
■著者(五十音順)
小崎彩 カリフォルニア大学 アーバイン校 薬学部 アシスタント・プロフェッサー
海渡寛記 ジェイ・マックス㈱ワンナップ英会話 代表/Medical English Hub(めどはぶ)医療英語学習プログラム プログラムディレクター
河野裕志 メドスターメディカルセンター 低侵襲心臓外科ディレクター/ジョージタウン大学アシスタント・プロフェッサー
小松大我 北海道大学医学部医学科
近澤研郎 自治医科大学附属さいたま医療センター 産婦人科 講師
豊田圭一 ㈱スパイスアップ・ジャパン 代表取締役
仁科有加 厚生労働大臣指定法人・一般社団法人いのち支える自殺対策推進センター国際連携室長
原田洸 マウントサイナイ・ベスイスラエル病院 内科 レジデント
松浦有佑 マウントサイナイ医科大学病院 小児科 レジデント
ヤング麻代 カリフォルニア在住 看護師