公認心理師のための精神医学 精神疾患とその治療
第2版
監修 | 子安増生 |
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京都大学名誉教授 | |
編集 | 村井俊哉 |
京都大学大学院医学研究科精神医学 | |
野間俊一 | |
のまこころクリニック |
- 【 冊子在庫 】
★2025年2月中旬 発売予定!★
心理職に必要な精神医学の基礎知識がわかる!
内容紹介
日本心理センターが公開する公認心理師試験問題範囲(ブループリント)と、公認心理師養成大学教員連絡協議会公認心理標準シラバスに対応した、必修科目「精神疾患とその治療」の教科書です。2020年にICD11、2023年DSM5-TRが発表されたこともあり、改めて心理学部系科目必須科目「精神疾患とその治療」のテキストとして改訂することとしました。第2版では、第10章(性別不合と性機能不全群)と第13章(精神科治療における薬物療法について)が新しく加わっています。
序文
監修の辞
2015年9月に成立した公認心理師法に基づく国家資格「公認心理師」の養成のための教育が2018年度から全国の大学で開始された。学部25科目のうち、基礎心理学系の科目と臨床心理学系の科目の多くは、既存の開講科目との内容の重複が大きく、既に公刊されているさまざまなテキストをベースに授業を行うこともできるが、既存の基礎心理学系の科目のテキストは、基礎と実践の関連性の説明への言及はほとんど行われておらず、両者を関連づける新たなテキストが必要となっている。
また、従来の心理学教育ではほとんど扱われていない公認心理師養成科目については、新たなテキストが必要とされるが、その中でも『精神疾患とその治療』は医学系の科目であり、公認心理師の活躍が期待される5分野(保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働)において重要度の高い医療分野の教育に適した新たなテキストが望まれた。
このような課題に応えるために、金芳堂からは早期に以下の2冊を刊行してきた。
『公認心理師のための基礎心理学』(2019年6月刊行)
『精神疾患とその治療』(本書、2020年2月刊行)
読者対象は、いずれも大学で公認心理師養成科目を学ぶ学生を中心とするが、公認心理師の国家試験の受験を目指している人、既に行われた国家試験の合格者および公認心理師登録者の方々にも役立つ有益な情報を提供するものである。
本書『精神疾患とその治療』は、初版刊行以来定評のあるテキストして使用されてきたが、「疾病及び関連保健問題の国際統計分類」の最新版がICD-11になり、「精神障害の診断と統計マニュアル」の最新版がDSM-5-TRにアップデートされたように、精神医学の進歩は日進月歩であり、それに応えるために本書の改訂を行い第2版として刊行することになった。
なお、公認心理師の国家試験は、一般財団法人公認心理師試験研修センターが毎年実施しており、既に第7回まで行われ、「令和5年度公認心理師活動状況等調査」の結果も報告しているので、詳しくは同センターのホームページを参照されたい。
学習と実践が有機的に結びつき、「国民の心の健康の保持増進に寄与すること」を目的とする公認心理師法の趣旨が豊かに実現することを切に願うものである。
2024年11月
京都大学名誉教授
子安増生
序
21世紀に入り、社会のさまざまな場面において心の支援の重要性が声高に語られるようになった。そのような気運とともに、心理的援助を行う者の技能を保証すべく、その国家資格化が求められ、2017年に公認心理師法が施行された。そして、その直後の2019年に、本書『公認心理師のための精神医学 精神疾患とその治療』の第1版が刊行された。執筆陣には、臨床現場においても研究領域においても第一線で働く精神科医を揃え、明日からの心理職の仕事にすぐに役立つ内容に仕上がったと自負している。大変ありがたいことに、この第1版は実際に多くの公認心理師やその他の関係者から好評を博したことから、このたび、第2版を上梓する運びとなった。
この第2版を公にするにあたり、第1版の内容そのままでも、十分に臨床心理業務の役に立つと思われたのだが、この5年間で精神医学や臨床心理学を取り巻く状況も幾分変化した。とくに、近年になって性自認や性志向の多様性を社会が受け入れるようになり、それと呼応して、精神医学においても、「性同一性障害(gender identity disorder)」から、「性別違和(gender dysphoria)」、「性別不合(gender incongruence)」へ呼称変更が行われ、名称とともにその理解のあり方も大きく変わった。この現状を踏まえて、第2版では「性機能不全群と性別不合」(第10章)の1章を新たに設けた。
さらに、各章の執筆担当者は自分の原稿にあらためて目を通して、今日の臨床感覚と内容とが合致しているかどうかを詳細に検証し、必要に応じて改変を加えた。とくに本書は、心理職の現場で役に立つものであると同時に、公認心理師の国家試験対策にも十二分に活用いただけることを目指している。今回の改訂の際には、一般財団法人の公認心理師試験研修センターが発行している「令和7年版公認心理師試験出題基準」(通称、ブループリント)も大いに参照しているため、公認心理師国家試験の参考書としても手に取っていただけるはずである。
精神医学の最新の知見を学ぶことのできる本書は、これから公認心理師を目指す人にも、公認心理師としてのキャリアを長く積まれた人にも、十分に満足いただけるものになっているのではないだろうか。臨床心理に携わる人たちにとって、本書の読書体験が、より深く精神医学について学ぶ貴重な機会になることを、切に願う。
2024年11月
野間俊一
村井俊哉
目次
監修の辞
序
第1章 導入:精神医学とは?
第2章 統合失調症とその類縁疾患
第3章 気分症(気分障害・感情障害)
第4章 神経発達症1 ~注意欠如多動症、アタッチメント障害など
第5章 神経発達症2 ~自閉スペクトラム症、学習症
第6章 不安、恐怖、強迫、ストレス、パーソナリティに関連する疾患群
第7章 食行動または摂食症群、睡眠・覚醒障害
第8章 器質性精神疾患(症状性を含む)とてんかん
第9章 物質使用症又は嗜癖行動症群
第10章 性機能不全群と性別不合
第11章 リエゾン精神医学と緩和ケア
第12章 検査法
第13章 精神科治療における薬物治療
第14章 公認心理師が知っておくべき関連法令
第15章 実習に入る前に ~チーム医療、医療連携、カルテ記載
索引
編者・著者プロフィール
執筆者一覧
■監修
子安増生 京都大学名誉教授
■執筆者一覧(執筆順)
村井俊哉 京都大学大学院医学研究科精神医学
深尾憲二朗 帝塚山学院大学総合心理学部
白川治 神戸大学/医療法人尚生会湊川病院
川岸久也 にじいろこども発達クリニック
磯部昌憲 京都大学大学院医学研究科精神医学/児童思春期こころの相談センタ―
濱崎由紀子 京都女子大学現代社会学部
富永敏行 京都府立医科大学大学院医学研究科精神機能病態学
上田敬太 京都光華女子大学看護福祉リハビリテーション学部
鶴身孝介 京都大学大学院医学研究科精神医学/デイ・ケア診療部
織田裕行 医療法人桐葉会きじまこころクリニック
松岩七虹 医療法人桐葉会きじまこころクリニック
髙木賢一 医学研究所北野病院神経精神科
諏訪太朗 京都大学大学院医学研究科精神医学
和田央 大阪赤十字病院精神神経科
野間俊一 のまこころクリニック