図解 スポーツ健康科学入門
第2版

  • 未刊
定価 3,740円(本体 3,400円+税10%)
編著北條達也
同志社大学スポーツ健康科学部教授
B5判・266頁
ISBN978-4-7653-2039-9
2025年03月 刊行
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★2025年4月上旬 発売予定!★

これ一冊で解剖生理から栄養・傷害、リハとスポーツ健康科学に関する知識が網羅的・体系的に学ぶことができる!

内容紹介

第1版刊行から約5年ぶりの改訂で最新の情報にアップデートを行いました。本書はこれ一冊でこれからスポーツ健康科学を学ぶ方に必要な基礎知識を習得することを目指した書籍です。

スポーツ医学・健康科学を学ぶ学生の知っておくべき基礎知識、解剖学・生理学、からだづくりに必要な基礎知識、コンディショニングやスポーツ障害、アスレティックリハビリテーション、運動器の疾患、生活習慣病とメタボリックシンドローム、アンチドーピングなどをやさしく解説。特にコンディショニングに関しては、一般的な教科書には掲載されることの少ない鍼治療や歯科領域の内容も解説。また、改訂に伴い近年年々注目度の高まる障がい者スポーツに関する章を新設しました。テキストや参考書として最適です。

序文

ラテン語の「deportare」(デポルターレ)という単語がその語源とされる「sport(英)・sports(米)」(スポーツ)は、現代社会には欠かせないものとして発展し、多くの人々がスポーツを「見る」「する」「支える」活動に関わるようになっています。スポーツの発展に伴って、多くの競技でスポーツで生計を立てる“プロ選手”が登場して世界を舞台に活躍するようになり、子供たちの憧れの職業となっています。オリンピック競技に限らず、ラグビーやサッカーのワールドカップのように世界規模で開催される競技の数も増えています。このスポーツ人気の高まりは、競技力向上やスポーツ傷害予防などに関する専門的な知識のニーズにもつながり、その解決にはスポーツ医科学に関する研究や教育の充実が重要になっています。

また、医学の発達によって「人生100年時代」がすぐそこに見えてきている中、少子化もあいまって日本はこれまで経験したことのない超高齢化社会を迎えています。この問題に対して政府は、高齢者介護に対する財源確保も含めて2000年に介護保険制度を導入するとともに、2003年に「健康日本21(二十一世紀における国民健康づくり運動)」を中核とした国民の健康づくり・疾病予防を推進するために健康増進法を施行しました。「健康寿命の延伸」を目標に医学会と連携してメタボリックシンドロームやロコモティブシンドロームを策定して、寝たきりリスクの高い状態を早期に発見して、運動習慣を含む生活習慣の改善を促す医療政策を実施しています。個々人の状態に合わせた具体的な運動処方や運動指導を行う健康運動指導士の資格も設けられました。

このような社会的ニーズから、多くの大学にこれまでの体育系学部とは一線を画した健康科学やスポーツ健康科学系の学部が創設され、身体活動の専門家である“スポーツ健康科学”の知識を持った人材が輩出されるようになってきています。これらのスポーツの競技力向上や傷害予防、運動による生活習慣雄改善や転倒予防などに関わる人材は、機能解剖学、運動生理学、臨床医学などの基本的な知識を広く習得しておく必要があります。

本書は、“スポーツ健康科学”に興味を持ち学ぼうとする人たちが、関連領域の基本的な知識を広く学習しさらには実践してもらうことを想定して、スポーツ健康科学の各領域の専門家に執筆をお願いして作成し好評を得ました。第2版では、新たな知見や規定、診断基準などの改定に対応して内容を刷新し、さらには障がい者スポーツに関する章を新たに加えて内容の充実をはかっていますので、読者の皆さんの幅広いニーズにお応えできるものと思います。

最後に、本書作成の意図に賛同して寄稿ならびに改訂にご協力いただいた多くの執筆者の先生方に感謝いたしますとともに、出版にあたり多大なるご援助をいただきました金芳堂の市井輝和様、山下祐介様に深甚なる謝意を表します。本書が多くの読者の方々に裨益することを祈念して第2版出版のご挨拶といたします。

令和7年3月
北條達也

目次

第1章 スポーツ健康科学を理解するための解剖学・生理学の基本

1 からだの構造と機能
1 からだを形づくる主な骨
2 関節の構造と働き
3 筋肉の構造と働き

2 運動のためのエネルギー供給と利用の仕組み
1 呼吸器系の解剖と機能
2 循環器系の解剖と機能
3 運動のためのエネルギー供給と利用の仕組み

3 運動のための情報伝達の仕組み
1 神経細胞の構造と情報伝達の仕組み
2 大脳皮質
3 小脳・大脳基底核
4 脊髄
5 運動単位
6 感覚情報の伝達と統合
7 脊髄反射

第2章 トレーニングとからだづくりに必要な基礎知識

1 筋力トレーニングの基礎知識
1 筋収縮の様式
2 最大筋力に影響する因子
3 トレーニングによる最大筋力の向上と影響因子の変化

2 筋力トレーニングプログラム作成の基礎知識
1 筋力トレーニングプログラムの要素
2 筋の出力特性とトレーニングによる変化 ①
3 筋の出力特性とトレーニングによる変化 ②

3 コンディショニングに必要な体幹トレーニング
1 体幹トレーニングの重要性について
2 体幹トレーニングの実際

4 運動とからだづくりのための栄養学
1 アスリートの食事
2 「基本の食事」のとり方
3 からだづくりの食事
4 スタミナづくりの食事
5 試合時の食事
6 競技特性に応じた食事
7 疲労回復のための栄養補給
8 食事内容のアセスメント

第3章 コンディショニングの基礎知識

1 コンディショニング
1 コンディショニングとは

2 傷害予防のためのコンディショニング法:ウォーミングアップとクーリングダウン
1 ウォーミングアップ
2 クーリングダウン

3 傷害予防のためのコンディショニング法:ストレッチング
1 スタティックストレッチング
2 ストレッチングの効果

4 傷害予防のためのコンディショニング法:物理療法
1 温熱療法の効果と実際
2 寒冷療法の効果と実際

5 傷害予防のためのコンディショニング法:鍼灸治療
1 アスリートに対する鍼灸治療:スポーツ鍼灸
2 鍼治療の効果
3 鍼治療のタイミング
4 鍼灸治療が有効な主な運動器(スポーツ)傷害に対する鍼灸治療
5 その他アスリートのコンディショニングによく用いる鍼灸治療

6 歯のコンディショニング
1 歯科におけるコンディショニングとデンタルチェック
2 歯とその周囲の構造
3 歯と歯周組織の疾患
4 顎口腔系と全身の関連
5 スポーツ選手が歯科領域で特に注意すべき事項
6 スポーツを支える歯科の専門資格

第4章 スポーツ傷害の基礎知識

1 頭頸部外傷
1 頭部外傷
1 頭皮の損傷・出血
2 頭部打撲
3 頭蓋内出血
4 脳振盪

2 頸部外傷
1 頸椎捻挫
2 バーナー症候群/スティンガー症候群
3 頸椎椎間板ヘルニア
4 頸椎の骨折
5 頭頸部外傷に対する現場処置

2 四肢の外傷と障害
1 肩関節脱臼
2 鎖骨骨折
3 肩鎖関節脱臼
4 腱板傷害:腱板炎・腱板断裂
5 投球肩障害
6 投球肘障害
7 三角線維軟骨複合体(TFCC)損傷
8 舟状骨骨折
9 マレットフィンガー(槌指)
10 肉ばなれ(大腿四頭筋・ハムストリング・腓腹筋など)
11 前十字靱帯(ACL)損傷
12 半月板損傷
13 ジャンパー膝
14 オスグッド・シュラッター病(オスグッド病)
15 腸脛靭帯炎
16 鵞足炎
17 シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)
18 アキレス腱断裂
19 下腿疲労骨折
20 足関節回外捻挫*(足関節内反捻挫)
21 中足骨疲労骨折
22 後足部インピンジメント症候群
23 足底腱膜炎(足底筋膜炎)

3 RICE処置
1 炎症概論
2 RICE処置による炎症の制御
3 RICE処置の注意点

4 一次救命処置(basic life support:BLS)
1 スポーツ現場における突然死
2 AED(automated external defibrillator:自動体外式除細動器)の導入
3 BLS(basic life support:一次救命処置)

5 脱水症と熱中症
1 脱水症
2 熱中症

第5章 アスレティックリハビリテーション

1 アスレティックリハビリテーション
1 アスレティックリハビリテーション概論
2 アスレティックリハビリテーションの流れ
3 運動療法

2 テーピング
1 概要
2 テーピングの歴史的背景
3 テープの種類
4 テーピングの目的
5 足関節のテーピング
6 膝関節のテーピング
7 肘関節のテーピング
8 手関節のテーピング
9 手指のテーピング

第6章 知っておくべき主な運動器の疾患

1 骨粗鬆症
2 変形性関節症
≫ 2-1 変形性膝関節症
≫ 2-2 変形性股関節症
3 関節リウマチ
4 変形性腰椎症
5 腰部脊柱管狭窄症
6 ロコモティブシンドローム

第7章 生活習慣病とメタボリックシンドローム

1 概論
2 糖尿病
3 脂質異常症
4 高尿酸血症・痛風
5 高血圧症
6 メタボリックシンドローム

第8章 アンチ・ドーピング
第9章 障がい者スポーツ

1 障がい者スポーツの意義と理念
1 障がい者スポーツに関する言葉の定義
2 障がい者スポーツの意義
3 障がい者スポーツの理念

2 障がい者スポーツの大会や組織
1 パラリンピック大会の歴史と現状
2 デフリンピックの歴史と現状
3 スペシャルオリンピックスの歴史と現状
4 各種の国内大会

3 障がい者のスポーツ指導時の留意点
1 各種障がいの概要
2 障がい者のスポーツ指導時の留意点

ミニコラム
持久的運動パフォーマンスの向上とミトコンドリア
コラーゲンの合成
改良型グリコーゲンローディング法
鍼通電による骨癒合促進
ゲートコントロールセオリー
内がえし(内反)捻挫は回外捻挫に?
アイシングは有害?
治療用伸張テープについて
宇宙飛行士と老化の深い関係
寛骨臼インピンジメント(FAI)
ロコモとサルコペニア・フレイル
障がい者・障害者・障碍者?

執筆者一覧

■編著
北條達也  同志社大学スポーツ健康科学部教授

■執筆者一覧
髙倉久志  同志社大学スポーツ健康科学部准教授
福岡義之  同志社大学スポーツ健康科学部教授
稗田睦子  豊橋技術科学大学総合教育院准教授
海老根直之 同志社大学スポーツ健康科学部教授
上林清   同志社大学スポーツ健康科学部准教授
若原卓   同志社大学スポーツ健康科学部准教授
松井知之  洛和会スポーツ医科学研究所主席課長
小椋真理  京都文教短期大学食物栄養学科教授
中村雅俊  西九州大学リハビリテーション学部准教授
井上基浩  宝塚医療大学保健医療学部教授
松村英尚  九州大学歯学部臨床教授/松村歯科医院院長
武内孝祐  神戸国際大学リハビリテーション学部講師
井口順太  京都先端科学大学健康医療学部教授
伊藤譲   日本体育大学保健医療学部教授
糸井恵   明治国際医療大学整形外科学教授
藤田紀昭  日本福祉大学スポーツ科学部部長

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