ザ・テキスト 大腸ESD
編集 | 大圃研 |
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NTT東日本関東病院内視鏡部部長 | |
千葉秀幸 | |
大森赤十字病院消化器内科副部長(兼)内視鏡室長 |
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大圃組の神髄、ここに極まれり。大腸ESD究極の攻略法。大圃組が全力をあげて完成させた、大腸ESD攻略テキストの決定版。
内容紹介
内視鏡のトッププロフェッショナルであるDr.大圃のESD手技を細かなテクニックに分解し、実症例をあげながら解説。基礎・初級・中級・上級の4つのレベルごとの構成で、読者は本書を読みながら確実にステップアップしていくことができる。また、事前にトレーニングすることができない偶発症対策について、対処方法のみならず、その症例を経験した時に入院マネージメントまでどうするかを具体的なフローを詳細に記載。巻末には、大腸ESDを上達させたい内視鏡医必読の、編者らによる特別対談を収録。さらに、著者らのテクニックを余すことなく収録した動画を特設サイトにて公開。
■本書の特徴
①執筆者を少数に精選し単著に近い形をとっており、一貫性のある“考え方を含めた流儀”を学ぶことができる。
②基礎・初級・中級・上級のレベル別に手技を解説。読者は確実にステップアップできる。
③明日の症例への不安を解消できる:実際の経験症例を動画で提示。“明日の症例”に対する具体的なイメージトレーニングができる。
④偶発症対策:事前にトレーニングすることができない偶発症について、単純な対処方法のみならず、入院マネージメントまでどうするか、具体的なフローを詳細に記載し、反省点まで提示。
⑤豊富かつ長時間の動画:テクニックに特化した動画と症例動画を約50本公開。症例動画では、ポイントだけの抜粋ではなく、実際のテクニックをその前後から長めに収録し、一連の手技の中にその技がいかに組み込まれているのかを臨場感をもって視聴できる。
⑥編者らによる特別対談を収録:大腸ESDを上達させるために、トッププロフェッショナルはなにを考えているのか? 卓越したテクニックを有するのみならず、優れた指導者でもある編者らによる、リアルな「声」を収録。
序文
私がESDに初めて携わったのが2000年,大腸ESDを手掛けたのは2002年のことになります.ESD黎明期から携わってきましたが,私自身は誰かの師事を仰いだことはなく,学会や研究会で匠の手技を見よう見まねして我流で手技を磨いてきました.結果的に独自性のあるスタイルに行きつき,今ではその手技を学びたいと集まってくれる先生にも恵まれる様になりました.昨今大腸ESDの手技本ともいうべき本は珍しくはありませんが,今回,私たちの流儀ならではのコツ集を執筆してみないか,というお話をいただきました.臓器別に手技の本を執筆するのは初めてのことでしたが,より深くニッチなことを集約した本を書いてみようスタッフと相談し挑戦してみることにしました.
現状でも多くの優れた類似本がありますが,今回大腸ESDを学びたい先生が分かりやすい,受け入れやすい本を作る為,敢えて指導した私ではなく指導された側が主に執筆するスタイルにしました.教えた側より教わった側の方が,“分からなかったこと”,“こう説明してもらいたかった”,“ここが肝だった”などが良く分かるからです.今回の執筆者は私の直弟子の先生達の中でも特に大腸ESDを得意にしている先生達です.一緒に編集した大森赤十字病院の千葉秀幸先生は私にとって第一世代の弟子であり,ESD黎明期を知る先生です.現施設で内視鏡センター長として何名ものお弟子さんを育てています.NTT東日本関東病院の村元喬先生は,今まさに私の元で若い先生の指導の中心を担っています.港洋平先生は第二世代の弟子であり,昨年までスウェーデンで2年間大腸ESDの普及に努め2018年より当院に戻ってきてくれました.若い先生ですが海外の医師まで含めての指導経験が豊富です.埼玉医科大学国際医療センターの田島知明先生も第二世代の弟子です.私と千葉先生の双方の薫陶を最も受けた弟子であり,若くして素晴らしい技術を持っています.彼らが,感覚的な大圃語をより分かりやすく翻訳してくれました.細かいコツが指導した時とは違った表現がされており,私自身もとても勉強になりました.
本書には3つの特徴があります.第一に極力執筆者を限定し単著に近い形をとりました.手技には様々な流派があって然るべき,しかし流派の違う執筆者の集まりでは脈絡通徹の本にはなりません.どうしても本質の“流儀のコツ”に触れない,当たり障りのない寄せ集めの内容になってしまいます.一貫性が際立つことで,“考え方を含めた流儀”をうまく伝えられるのだと思います.二つ目は初学者から技術レベルに応じ,段階別と臓器別に手技を解説したことです.本書と共にステップアップしていくもよし,明日の症例への対策をピンポイントで拾い読むこともできます.また偶発症対策は事前にトレーニングすることはできません.単純な対処方法のみならず,その症例を経験した時に入院マネージメントまでどうするか,具体的なフローを詳細に記載しました.三つ目は豊富な動画集です.最近は動画が多い!という本も珍しくありませんが,本書は数のみならず,その個々の動画の時間そのものが長いのです.ポイントだけを抜粋せず実際のテクニックをその前後から長めに収録し,一連の手技の中にその技がいかに組み込まれているのかを臨場感をもって視聴できます.
思いを詰め込んだ結果,A4サイズで200ページに迫るボリュームのある本になりましたが,すんなりと読み切れる内容だと思います.この『ザ・テキスト 大腸ESD』が,“我々の流儀”を感じるツールとして,皆さんのステップアップの一助となれることを願ってやみません.
2018年10月
NTT東日本関東病院 内視鏡部 部長
大圃 研
目次
Ⅰ 大腸ESDの準備
Section 1 適応病変選択
Section 2 前処置方法
Section 3 周術期マネージメント
Section 4 高周波設定
Section 5 内視鏡選択
Section 6 処置具選択
Ⅱ ステップアップ大腸ESD
ストラテジー三原則
①基礎ESD
到達目標 1 病変範囲の確認と難易度予測
到達目標 2 反転?順方向?
到達目標 3 局注のコツ?
到達目標 4 最初の粘膜切開のコツ
到達目標 5 フラップのつくり方
到達目標 6 フラップへの潜り方のコツ?
到達目標 7 辺縁切開も切開モードで
到達目標 8 剥離のコツ①~中心はQC methodで~
到達目標 9 剥離のコツ②~至適距離とは~
到達目標 10 剥離のコツ③~切り方いろいろ~
到達目標 11 粘膜下層の血管の考え方
到達目標 12 止血の極意
到達目標 13 重力の考え方
症例 1 直腸(肛門病変を除く)
症例 2 上行結腸
②初級ESD
到達目標 14 軽度線維化
到達目標 15 大腸内視鏡が安定しない状況でのESD
到達目標 16 簡単な病変を短時間で終わらせる
症例 3 横行結腸
症例 4 下行結腸
症例 5 S状結腸
症例 6 盲腸(回盲弁・虫垂開口部病変を除く)
症例 7 肛門病変
③中級ESD
到達目標 17 中等度線維化
症例 8 虫垂開口部
症例 9 回盲弁にかかる病変
症例 10 生検瘢痕症例
症例 11 50㎜以上(亜全周性病変以下)の病変
④上級ESD
到達目標 18 高度線維化
到達目標 19 亜全周性(3/4周性以上)の病変
到達目標 20 あきらめる瞬間を知る
症例 12 高度線維化病変
症例 13 筋層牽引を伴うLarge Is病変
症例 14 大腸憩室が併存する病変
Grade A 憩室近傍に病変が存在する場合
Grade B 憩室内部に病変が一部進展した場合
Grade C 病変内部に憩室が存在する場合
Ⅲ トラブルシューティング~対処方法とその後の経過~
Section 1 術中穿孔
Section 2 遅発性穿孔
Section 3 後出血
Section 4 狭窄
Section 5 post ESD coagulation syndrome
あとがきにかえて 特別対談:大腸ESDを上達させるには?
執筆者一覧
大圃研 NTT東日本関東病院 内視鏡部 部長※
千葉秀幸 大森赤十字病院 消化器内科 副部長(兼)内視鏡室 室長※
村元喬 NTT東日本関東病院 消化器内科
港洋平 NTT東日本関東病院 消化器内科/ Karolinska Institute,Department of Clinical Science,Danderyd Hospital
田島知明 埼玉医科大学国際医療センター 消化器内視鏡科 助教
志賀拓也 NTT東日本関東病院 内視鏡部
(※は編集)
トピックス
付録動画サンプル
2019年5月開催の「第97回日本消化器内視鏡学会総会」にてご好評いただきました。詳細は下記リンクをご覧ください。