病気からみた 高齢者感染症ケアマニュアル
編著 | 河野公一 |
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大阪医科大学衛生学・公衆衛生学教授 | |
島原政司 | |
大阪医科大学口腔外科学教授 | |
佐野浩一 | |
大阪医科大学微生物学教授 |
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内容紹介
近年、いわゆる「日和見感染」が増加するなか、抗菌薬に耐性のある感染性の弱い病原体が家庭や施設で広まりやすくなっている。
またノロウイルスやO-157による食中毒およびその後の持続的な経口感染症の発生が冬期にも報告されるなど、それまでの一般的に認識された食中毒や感染症の概念を大きく変える事例も報告されはじめている。
一方、在宅や施設において介護を受けている高齢者であっても、何らかの慢性疾患や急変の可能性のある病気や症状を抱えており、わが国ではこのような感染抵抗性の低下した高齢者が急速に増加している。
これら高齢者の身体状態については、もっとも身近にいる家族やヘルパー、保健師などの介護者が一番良く知っているので、感染症による健康状態の変化や異常の発生を早い時期に発見し、必要に応じて医師などの医療の専門職に連絡しなければならない。常から感染症に対する正確な知識を持ち、疑問の生じないようにしておくとともに、注意すべき観察のポイントや介護上の留意点について熟知しておく必要がある。
本書は、高齢者によくみられる感染症について、介護現場からみた(1)わかりやすい解説を行い、(2)医療専門職の判断や指示、処置に対する適切な情報をうるための観察のポイント、(3)専門職と連絡しあって、指示を受けながら行う介護行為、さらに(4)感染症予防を視野に入れた消毒方法や寝たきり高齢者の褥創対策など日常介護の実際について、箇条書きで提示していくとともに、日頃携帯できるようにポケットサイズの書としてまとめてある。
目次
第Ⅰ部 高齢者介護にみられる感染症-臓器別にみた症状と対策
神経疾患
1.単純ヘルペス脳炎
2.髄膜炎
3ポスト・ポリオ症候群
4.日本脳炎
5.脳膿瘍
6.ギラン・バレー症候群
呼吸器疾患
7.慢性気管支炎
8.かぜ症候群
9.肺真菌症(アスペルギルス症、カンジダ症)
10.インフルエンザ
11.レジオネラ症
12.嚥下性肺炎
13.沈下性肺炎
14.細菌性肺炎(肺炎球菌肺炎)
15.細菌性肺炎(連鎖球菌感染症)
16.肺結核
17.黄色ブドウ球菌肺炎(MRSA肺炎、VRSA肺炎)
18.肺吸虫症(肺ジストマ)
19.カリニ肺炎
耳鼻、眼疾患
20.角結膜炎、涙嚢炎、角膜ヘルペス
21.外耳炎、中耳炎、内耳炎
22.鼻炎、副鼻腔炎
口腔疾患
23.口内炎、アフタ性口内炎、潰瘍性口内炎
24.鵞口瘡(口腔カンジダ症)
25.う蝕(虫歯)、歯槽膿漏症(歯周病)
皮膚疾患
26.帯状疱疹(水痘帯状疱疹ウイルス)
27.単純ヘルペス(単純疱疹)
28.しらくも、ぜにたむし、いんきんたむし、みずむし (白癬菌)
29.疥癬、麻疹、風疹、水痘、MRSA
消化器疾患
30.一般的食中毒
31.冬季に多い食中毒
32.O-157、A型肝炎、赤痢、アニサキス
泌尿器、生殖器疾患
33.膀胱炎、尿道炎、腎盂腎炎
34.梅毒、クラミジア、淋菌
35.単純ヘルペス、尖圭コンジローマ
骨格運動器疾患
36.脊椎カリエス
37.急性化膿性膝関節炎
血液、循環器疾患
38.B・C型肝炎、HIV感染症/AIDS
39.感染性心内膜炎
ペット由来の疾患
40.犬から感染する病気
41.猫から感染する病気
42.トリから感染する病気
43.その他の動物から感染する病気
第Ⅱ部 状況に応じて必要となる対策
1.在宅医療で特に必要となる感染防止対策
2.褥創発生時に必要な感染症予防対策
3.行政への届出を必要とする場合の対応
4.緊急時の対処方法