人工股関節全置換術
第2版
編集 | 菅野伸彦 |
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大阪大学大学院教授 | |
久保俊一 | |
京都府立医科大学大学院教授 |
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人工股関節全置換術の全容をコンパクトにまとめた一冊、待望の改訂版!
内容紹介
人工股関節全置換術(Total Hip Arthroplasty: THA)について、手術手技を中心に、歴史・病態から最近のトピックまで、コンパクトにまとめた好評書籍の改訂版。これ一冊で、THAの全容を把握できる!
序文
Charnleyが人工股関節全置換術の発展の道を開いて55年が経過し、その間も人工股関節の材料、デザイン、固定法、手術手技、合併症予防法など多大なる進歩が見られます。しかしながら、この長足の進歩を理解し、よい人工関節を見極める目をもち、手術適応の判断、手術における技量などを常に洗練して自身の患者の治療に臨むことは容易なことではなく、一度慣れた手法を、自己検証せずに惰性で続けている状況になりがちです。かといって、新しい材料やデザインや手術法を盲目的に導入すると、学習曲線による初期不良例や不具合品により、以前の成績よりも悪い結果を招くリスクがあります。人工股関節には、数え切れないほどの機種があり、若い整形外科医は、研修施設で偶然であった機種および手術法を習得することからこの道に入っていきますが、他の施設の手法や使用機種はどのようなものか、気になることだと思います。色々な人工股関節の機種や手術法を、他の施設に出向いて直接見学したり、セミナーやワークショップに参加したり、手術ビデオなどの媒体を活用することも役にたつことだと思います。しかし、人工股関節の知識を整理し、常に人工股関節の進歩に目を向け、新しい医学情報を吟味しておくことは重要で、文献に常々目を通すのは理想的ですが、そこに至るまでに人工股関節の様々な基本的知識をまとめた教科書を読んで、基本を身につけておけば、新しい情報も理解しやすく、効率的に知識が整理できるものと思います。
人工股関節の教科書というと、歴史、材料、トライボロジー、バイオメカニクス、術前計画、手術進入法、手術手技、周術期ケア、臨床成績など英文などで詳述した分厚く分冊になったものはありますが、比較的コンパクトにまとめられたものが少なく、また、日進月歩の人工股関節の情報や変わりゆく患者の手術に対する期待度や術後の活動性などを教科書にまとめると往々にして情報が時代遅れになりがちです。本書は、人工股関節のことを一期にできるだけ短時間で勉強したい若い整形外科医向けに編集し、初版を2011年に出版し、好評をいただきました。その後4年経過したので、新たな知見などの報告も加えて、第2版を出版できる運びとなりました。再置換術については「股関節学」(金芳堂、2014)など他の専門書を参考にしていただき、本書をきっかけに、人工股関節についての理解がいっそう深まることに役立てられれば幸いです。
2015年10月
菅野伸彦
久保俊一
目次
第1章 人工股関節の基礎
1 人工股関節の歴史(菅野伸彦、久保俊一)
2 人工関節に用いられる材料(中原一郎)
3 人工関節の摺動(中原一郎)
4 人工関節の固定
I セメント固定(大橋弘嗣)
II セメントレスインプラントの表面形状およびコーティング(中原一郎)
5 人工股関節の摩耗(高木理彰)
6 人工股関節のバイオメカニクス
I 脱臼の回避(三木秀宣)
II 骨リモデリングとstress shielding(西井 孝)
第2章 股関節疾患とPrimary THA
1 股関節疾患の病態とTHA, 他のoption(西井 孝)
2 セメント・セメントレス固定の選択(菅野伸彦)
第3章 THA手術の実際
1 THA術前準備
I リスク評価・合併症予防(西井 孝)
II 術前計画(高尾正樹)
III インフォームド・コンセント(藤岡幹浩、久保俊一)
2 手術進入法
I 前方進入(DAA)(山村在慶)
II MIS-anterolateral approach (modified Watson-Jones’ approach)(松原正明)
III Motified Transglutal Approach (Dall変法)について(原田義忠)
IV 後方進入(中原一郎)
V 転子下短縮骨切り(高尾正樹)
3 術後ケア
I 肺塞栓症の予防とマネジメント(津田晃佑)
II 術創ケア、感染の予防(中村宣雄)
III リハビリテーションと股関節の機能判定(坂井孝司)
第4章 THAの摺動部材料およびデザイン
1 摺動面素材の選択
I セラミックオンセラミックTHAの臨床成績と問題点(西井 孝)
II メタルオンメタルの臨床成績と問題点(高尾正樹)
III クロスリンクポリエチレンの臨床成績と今後の展望(菅野伸彦)
IV 摺動面に影響を与える因子(骨盤傾斜、カップ傾斜) (三木秀宣)
2 ステムのデザイン
I モデュラー vs. モノブロックネック(坂井孝司)
II ショート vs. スタンダードステム(坂井孝司)
III カスタムメイドステム(坂井孝司)
IV セメントステムのデザイン(大橋弘嗣)
3 特殊型 (菅野伸彦)
第5章 コンピュータ支援手術
1 CT based 3D planning (三木秀宣)
2 Navigation (中村宣雄)
執筆者一覧
■編集
菅野伸彦 | 大阪大学大学院教授 |
久保俊一 | 京都府立医科大学大学院教授 |
■執筆者
中原一郎 | 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター整形外科 |
大橋弘嗣 | 大阪府済生会中津病院整形外科 |
髙木理彰 | 山形大学医学部附属病院整形外科 |
三木秀宣 | 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター整形外科 |
西井孝 | 大阪大学大学院医学系研究科運動器医工学治療学 |
高尾正樹 | 大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学(整形外科) |
藤岡幹浩 | 京都武田病院人工関節センター |
山村在慶 | 大阪労災病院整形外科 |
松原正明 | 日産厚生会玉川病院股関節センター |
原田義忠 | 千葉県済生会習志野病院整形外科 |
津田晃佑 | 独立行政法人国立病院機構大阪南医療センター整形外科 |
中村宣雄 | 協和会病院人工関節センター |
坂井孝司 | 大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学(整形外科) |