人体の解剖生理学
第2版

    定価 4,290円(本体 3,900円+税10%)
    編集木山博資
    名古屋大学大学院医学系研究科教授
    遠山正彌
    大阪大学名誉教授
    B5判・328頁
    ISBN978-4-7653-1709-2
    2017年04月 刊行
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    内容紹介

    解剖学・生理学を学ぶ医療関連領域の学生が、人体の構造(解剖学)と機能(生理学)の関連などの基礎知識はもちろん、病態を含めた膨大な知識を理解できるよう簡潔にまとめた。改訂にあたり、看護系のみならず、理学療法士や作業療法士、鍼灸師、視能訓練士など幅広いコメディカル教育にも対応。

    序文

    分子生物学的手法の進歩は生命科学研究に大きなインパクトを与え,旧来の手法による研究を古典へとあっという間に押しやってしまった.しかし今の若手の研究を俯瞰してみると大きな特徴が浮き上がってくる.光り輝いている若手研究者が,あっという間に消え去っていることがしばしある.また外国でいい仕事をし,期待しているといつの間にかその光を失っている.

    確かに,学問の流れはこの10年の間に高速で進化している.ついこの間まで流行のど真ん中にあった領域があっという間に閑散としてしまうことも多々ある.その流れについていくことができないのである.まさに今の若手の黄金期は刹那的でさえある.その原因は極めてシンプルである.個々の若手の専門分野では国際的な競争に打ち勝つ能力は十分に有しているとは思うが,あまりにも専門分野が狭いこと,そのことが原因のように思う.

    編者は脳の研究者なのでその領域を例にとりたい.培養によるデータで脳の機能を全て語ろうとする.生体を扱っていても自分の領域のことのみに精通し,何百億とある他の神経ネットワークには無知である.したがって,自分のフィールドから少しずれると落ちこぼれてゆくのである.研究の速度がより加速する今,生体に関する幅広い知識,裾野の広い知識,経験がより一層求められるのではないだろうか.裾野の広い知識と経験,それに基づくアイデアを有する研究者がこの競争を生き延びるのではなかろうか.

    一方,臨床サイドにも同じような傾向がある.大学院重点化以来,専門が細分化しすぎて横串が通っていない.文科省,厚労省は種々の領域を連携できる医療従事者の育成をしばしば強調し,総合診療なるフィールドを提起してきたが,それほど効果があったとは思えない.そのような現実を鑑みると人体の構造と機能,そして病態まで,それぞれの領域で身に付けるべき基本的な知識をわかりやすく,一貫性をもって身に付けうる教科書,そして種々の分野の領域(構造,機能から病態まで)を連結し病態と機能の本体の基本を把握できる座右の教科書が不可欠である.このような教科書は医学領域の学生のみならず,社会に出た医療従事者が疑問に思ったことに対する回答を求めるうえにも貴重である.ネットによる知識の検索が主流の現在であるが,ネットではピンポイントの回答は得られたとしても,生体という複雑な統合機能のモザイクを理解するには膨大な検索と時間を要する.若い人から活字が遠くなっているといわれているが,こと,人体の構造・機能・病態についてはこの教科書が最大のかつ有意義で簡便なツールである.

    本書は上記のフィロソフィーのもと,木山教授のリーダシップにより各専門家によって再構築された.この領域に学ぶ皆さんが本書を一読されたなら,その価値を容易に見出していただけるものと確信している.

    最後に本書の発刊にあたり,多大なご尽力をいただいた執筆者諸氏,発刊のためにひとかたならぬ労をお取りいただいた金芳堂編集部に深甚の感謝の意を表します.

    目次

    1章 人体の構成
    2章 生体の防御機構(血液と免疫系)
    3章 循環系
    4章 神経性調節(神経系)
    5章 液性調節(内分泌系)
    6章 運動器系(筋骨系)
    7章 呼吸の機構
    8章 栄養摂取の機構
    9章 排泄の機構
    10章 性と生殖に関する機構

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