マンガでわかる亜鉛の基礎と臨床
著 | 小野靜一 |
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南長野医療センター篠ノ井総合病院リウマチ膠原病センター部長 |
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すべての世代の体中の酵素を動かしてる亜鉛、知ってますか?亜鉛によって起きるさまざまな症状、病気をマンガと図でわかりやすく解説
内容紹介
亜鉛について医師、看護師、検査技師に、その重要性等を尋ねても完全に理解している人はまだまだ少なく、ましてや一般の人々では、「亜鉛といえば」と問いかけても何のことかさっぱりである。
「亜鉛といえば」、免疫には絶対に必要不可欠で、120以上の酵素の中心核をなす元素であり、体内では骨と筋肉に多く含まれる。
本書は疲れ過ぎない程度の運動をするなどして、亜鉛貯金を殖やすことの重要性をわかっていただくために、著者の長年の努力と経験をもとにまとめあげられたものである。
医師、看護師、検査技師のみなさまにはある程度理解していただき、患者さんへの説明の手助けにしていただきたい。
また、患者のみなさまでも亜鉛がいろいろな病気に必要不可欠なものであることを分かっていただくため、おもしろく親しみのもてるマンガを豊富に掲載して理解を容易にする工夫がなされている。
序文
この亜鉛に関する本をつくろうと思ったのは,患者さんに5回説明しても亜鉛の良さがわからないと言われたからです.欧米の薬剤師は亜鉛といえば一番最初に「免疫」と答えが返ってくるのに,一般人では免疫には亜鉛は絶対に必要だと説明してもわかってもらえませんでした.それならば,まだ亜鉛の重要性を完全には理解していただけていない医師,看護師,検査技師にある程度理解していただき,患者さんの説明への手助けになれば良いという気持ちで漫画を導入とした文章を書きました.
私は整形外科医ですが,「患者さん」の治療の必要に迫られて亜鉛をどの程度飲んでもらえば良いのかなどの臨床的研究を続けてきました.関節リウマチ患者さんの皮膚がとても弱く,頻回に感染を起こすのが怖くて本人も医師も手術に踏み切れず,かえって悪化して尚更状態の悪い時に手術をして悲惨な経験をしたことが,亜鉛の研究をするきっかけとなりました.大学の研究室での電子顕微鏡凍結切片の微小部X線分析で,手術時に採取した腰椎黄色靭帯の骨化部に亜鉛を確認したことも大きなモチベーションアップとなりました.
2008年7月3日の東京学士会館における「日本微量元素学会のランチョンセミナー」で,困難な手術には亜鉛補充は必須ですと訴えたところ,臨床的にとても重要なことがわかってとても良かったとお褒めの言葉をいただき,もっと深く研究する気になりました.自分の病院で痛みの訴えがひどくて受診する線維筋痛症の患者さんに亜鉛錠剤を飲んでもらうと血清亜鉛値が上がる量まで投与できた症例ほど良くなり,それは,亜鉛中心酵素が細胞外ATPを分解してくれることで,マイクログリアの痛み受容体であるP2X4受容体への刺激が減ったからであることも患者さんに説明して徐々に理解されてきました.「亜鉛栄養治療研究会」が出来てからも,関節痛に対して亜鉛を投与しているうちに薬でのアレルギーを起こさなくなったり,上強膜炎が治ったり,糖尿病移行型が治ったりしました.小学校以来の無嗅覚が1年半の亜鉛投与でパンの焼ける香りが一瞬であるがわかるようになった,半年で高音が聞こえるようになった,アトピー性皮膚炎がステロイドを使わずに消失した,以前に比べて感染症にかかりづらくなったなどの不思議な効果を経験するにつれて,それを動物実験などで解明してくださる基礎系の先生との絆も強くなったと感じています.
亜鉛は120以上の酵素の中心核となる元素であり,体内では骨と筋肉に多く含まれます.
疲れ過ぎない程度の運動をして,亜鉛貯金を殖やすことの重要性がわかっていただけたら嬉しいです.
目次
はじめに
01 免疫と亜鉛
02 ストレスと亜鉛
03 心筋梗塞と亜鉛
04 妊娠と亜鉛
05 肌荒れと気分の落ち込みと亜鉛
06 酵素と亜鉛
07 慢性の痛みと亜鉛
08 糖尿病と亜鉛
09 味覚と亜鉛
10 男の魅力と亜鉛
11 記憶と亜鉛
12 精子と亜鉛
13 アレルギー性鼻炎と亜鉛
14 アトピー性皮膚炎と亜鉛
15 暴力性と亜鉛
16 熱傷と亜鉛
17 血液透析に伴う骨折と亜鉛
18 創傷治癒と亜鉛
19 筋委縮性側索硬化症と亜鉛
20 脳神経とアルツハイマー型認知症と亜鉛
21 嗅覚と亜鉛
22 漢方と亜鉛
23 皮膚と毛髪の美容と亜鉛
24 放射線と亜鉛
25 熟年者のスポーツと亜鉛
26 腎不全と亜鉛
27 関節リウマチと亜鉛
28 悪性腫瘍と亜鉛
29 高齢者の貧血と亜鉛
30 肝臓と亜鉛
31 基礎と臨床の統合