小児エコーの撮影法と正常像がぜんぶわかる!腹部・体表・心臓・頭部を完全マスター
小児エコーはハードルが高いと感じているあなた! 正しいテクニックで画像診断のコツをつかもう!
内容紹介
成人と異なり、身体が小さく成長過程にある小児では、超音波検査を行っても画像の描出がうまくいかず使いこなせないままでいる人も少なくない。本書では、「正常像にみるエコー所見」、「スクリーニングのポイント(成人との共通点や違いについて)」、「プローブ操作のポイント」、「代表的疾患」、「ひと口メモ」などを観察部位ごとにまとめ、初学者ばかりでなく中級者にとっても充実した内容となっている。
小児エコーはプローブの当て方とそのときに観察される正常像を覚えることが重要で、それが「頭の中にある正常像」となるため、本書で経験を積むと、プローブを当てるだけで身体の状態を把握できるようになるだろう。臨床症状・診察所見や検査所見にエコー所見を加味することで、さまざまな疾患の診断の方向づけに役立ててほしい。
序文
超音波検査は非侵襲的であり、ベッドサイドで繰り返し実施できるため、小児の検査として最適です。そのことが次第に小児医療の分野で理解され、小児の診療に携わる医師や超音波検査士の間で関心が高まっています。とりわけ、次代の小児医療を担う若い小児科医や専攻医が超音波検査の習得を目指し、ハンズオンセミナーなどに積極的に参加していることはとても喜ばしいことです。
日本小児超音波研究会は、2014年(平成26年)7月1日に発足したばかりの、まだ新しく、小さな研究会です。その目的は「小児超音波医学およびこれに関連する研究と診療を支援・促進し、教育・研修の場を提供し、並びに学際領域との連携を図り、もって学術の発展と小児の健康増進に寄与することである」と謳っています。言い換えると、小児領域に超音波検査を普及、定着させるとともに、広く指導者を育て、未来を担う子どもたちに非侵襲性を活かしたより良い医療を提供することです。
小児超音波は成人のそれとは対象年齢・疾患が大きく異なります。したがって、小児領域に超音波を普及するためには、成人領域とは別の研修・学習の機会が必要です。2015年11月28日の第1回日本小児超音波研究会(山口県周南市)には診療科や職種の垣根を越えて、臨床の第一線で小児超音波を実施している医療者150名あまりが参加しました。第2回は埼玉県さいたま市、第3回は茨城県つくば市、第4回は大阪府高槻市で開催され、本年(2019年)11月には徳島県徳島市で第5回の開催が予定され、小児超音波の裾野は確実に広がっています。ALARA(as low as reasonably achievable)conceptを共通認識にして、多くの医療者が小児領域への超音波検査普及のために立ち上がったことは、喜ばしい限りです。参加メンバーは医師、検査技師、超音波検査士の区別なく、診療科は小児科、小児外科、放射線科、救急科を含み、勤務先も第一線の病院、大学病院、小児医療センター(こども病院)、開業医など多岐にわたっています。
小児領域へ超音波検査を普及するためには、多くの小児医療に携わる人々に標準的な走査法やスクリーニング法を示すことが重要と考えました。今回、株式会社金芳堂のご厚意により、『小児エコーの撮影法と正常像がぜんぶわかる! 腹部・体表・心臓・頭部を完全マスター』を出版する運びになりました。執筆は日本小児超音波研究会の理事・監事が担当しました。実際に第一線で日々実践している方法をできるだけ簡潔にまとめていただきました。
本書が小児領域への超音波検査の普及に一石を投じると確信しています。
2019年2月16日(土曜日)
茨城県つくば市つくば国際会議場(第9回茨城エコーゼミナール)にて
JCHO徳山中央病院小児科
内田正志
目次
本書発刊の目的、はじめに
序章
1.超音波検査の特徴と小児科領域で普及しにくい理由
2.プローブ(探触子)の種類、基本的走査法、機器の使い方
3.小児エコースクリーニング全体で留意すべき点
1章 腹部超音波検査
1.肝臓、胆嚢、門脈
2.膵臓
3.脾臓
4.腎臓、副腎、膀胱、子宮
5.消化管
6.腹部血管
2章 体表超音波検査
1.唾液腺
2.甲状腺
3.頸部
4.胸部
5.腹部
6.鼠径部・精巣・股関節
3章 心臓超音波検査
1.胸骨傍アプローチ
2.心尖部アプローチ
3.胸骨上窩アプローチ
4.剣状突起下アプローチ
4章 頭部超音波検査
1.冠状断面
2.矢状断面
執筆者一覧
■編集
日本小児超音波研究会
■執筆者一覧(五十音順)
浅井宣美 茨城県立こども病院超音波診断室
市橋光 自治医科大学病院付属さいたま医療センター小児科
内田正志 JCHO徳山中央病院小児科
木野稔 中野こども病院
河野達夫 東京都立小児総合医療センター診療放射線科
平岡政弘 愛育小児科
藤井喜充 関西医科大学小児科学講座
森一博 徳島県立中央病院小児科
吉田光宏 八代北部地域医療センター
吉元和彦 熊本赤十字病院小児外科
余田篤 大阪医科大学小児科