薬歴ってどう書くの? 薬剤師のお悩み解決! ホンモノの薬歴の書き方
デキる薬剤師のホンモノの薬歴の書き方
内容紹介
現場では、次から次へと来る目の前の患者対応に追われ、薬歴記載はついつい後回しに……、といった経験をした薬剤師の方は少なくないと思います。「薬歴を割く時間が取れない」、「薬歴の書き方がわからない」と悩む薬局薬剤師さんへ、人気セミナー「薬歴を信じられないほど簡単に書けるようになる!」、「薬歴の達人」の講師が、薬歴の書き方を伝授します。
本書には、薬歴を取り巻く現状、薬歴の書き方・添削など、基本的な内容から実務に活かせる内容まで、幅広く紹介。読者にとっての“薬歴記載のバイブル”になることでしょう。本書を読んだ後は、薬歴の本質がよくわかり、患者応対時に完結した薬歴が書ける“デキる薬剤師”になること間違いなし!
序文
はじめに
薬歴は私のライフワークと言ってもよいものです。これまでコミュニケーション関係と、服薬指導、そしてPOS、SOAPの本を出してきました。今回、講演のテーマとして最も希望が多い薬歴をメインテーマとする本書を世に問うことができたことを、心よりうれしく思います。もちろん薬歴を語るには、服薬指導を語らなければなりませんし、POSの考え方も語らなければなりません。したがって、その部分はこれまでに出してきた書籍とテーマが重なってしまうことは事実です。ただ、「薬歴をどうしよう?」、「どうしたら薬歴がうまく書けるようになるのだろう」と答えを求めている皆さんに対し、薬歴という切り口ですべてをトータルに説明することができるわかりやすいテキストが、どうしても必要に思えました。なぜなら、これまで私が書いてきた、POSやSOAP、そして服薬指導やコミュニケーションを別々に解説する本では、その内容をどうやって「薬歴」という具体的なテーマに結びつけて活せばよいのかが、わかりにくかったようなのです。それに対する現時点での一つの答えが、本書となります。また、「クラスタリング」について詳しく書かれたテキストは、私の本も含めて見当たりませんでしたので、それを提供したいというのも、本書に取り組んだ理由の一つです。ともにある程度はお応えできたのではないかなと考える次第です。
本文の中でも何度も触れておりますが、現在、薬剤師の記録にまつわる様々な事柄が、混沌としております。そもそも「薬歴とは何なのか」という根本的なところから薬剤師間で共有できていないように感じますし、ほとんどの薬局がSOAPで薬歴を書いているにもかかわらず、SOAP、あるいはその大元の考え方であるPOSについて、理解されていないと感じるのです。その結果、一番大切な「POSを取り入れることによる利点」を感じることができず、現場の薬剤師の皆さんが苦労しているように思えるのです。この誤解は何としても解消したいなと強く強く願っております。本来POSは取り入れることにより、効率よく医療の質を向上させることができ、薬歴はアッという間に書けるようになるはずのモノなのです。この本をきっかけに、正しいPOSが薬剤師の世界に少しでも広がってくれることを心より願っております。
最後に、なかなか原稿が出来上がらない私に根気よく付き合ってくださった、編集部の西堀智子氏に心より御礼申し上げます。彼女の存在がなければ、この本は日の目を見ることがなかったことでしょう。
令和2年6月
岡村祐聡
目次
Part1.薬歴を取り巻く現状
1.薬歴は悩みの種?
- たくさんある薬歴の悩み
- 薬歴残業は当たり前?
- 薬歴の悩みを解消したい
- 発想を変えてみませんか?
2.薬歴は宝物
- 薬歴は宝物とはどういうことか
- 薬歴活用法
3.良い薬歴は良い服薬指導から
- 薬歴だけ何とかしようとしても意味がない
- 服薬指導を改善するとはどういうことか
- 本当に患者さんを見ているか
- 良い薬歴を目指して
4.服薬ケアの考え方
- 服薬ケアとは
- 服薬ケアとPOS
- 服薬ケアと薬歴
Part2.薬歴とは何か?
1.記録としての意味
- 記録はとても重要なもの
- 記録の正当性
- 現状の薬歴は記録の正当性を満たしているのか
- 薬歴を薬剤師の医療記録であると定める
2.薬歴は薬剤師の医療記録である
- 医療記録であるということ
- 薬剤師の医療行為とは何なのか
- 薬歴に記録すべきこと
- 本質をしっかりつかもう
3.良い薬歴、悪い薬歴
- 悪い薬歴はどんな薬歴か?
- 良い薬歴とはどのような薬歴か?
- 良い薬歴を書くためにはどうしたらよいか
4.服薬指導を考える
- 良い服薬指導を目指すには3つの要素がある
- はずした服薬指導が横行している
- 服薬ケアの基本的な考え方を踏まえて
5.未来に向けて
- 薬歴残業とおさらばするために
- これから薬局の進むべき方向とは
- 薬歴はその場で書こう!
Part3.薬歴が信じられないくらい速く書けるようになるために
1.正しくPOSを理解すればすべてが変わる!
- POSの誤解を解きましょう
- 考える力をつける
2.考え方としてのPOS
- POSとは
- プロブレムごとに考える
- クラスタリングとは何か
- アセスメントを育てる
- SOAP
- 薬剤師にとっての初期計画
- 薬剤師にとってのオーディット
3.プロブレムとプロブレムリスト
- プロブレムは着目点
- プロブレムは職種ごとに違う
- プロブレムの広さ
- 薬局薬剤師のプロブレムの取り上げ方
- プロブレムリスト
- プロブレムを共有する場合の留意点
- プロブレムは患者さんの人生の中にある
Part4.実践薬歴添削~様々な事例における薬歴記載例~
添削1 毎回Doで困っている例(1)
添削2 毎回Doで困っている例(2)
添削3 情報不足でアセスメントできない例
添削4 初回服薬指導の記載例
添削5 問い合わせの記載例
添削6 本人になかなか会えない場合の薬歴記載例
添削7 SOAPに複数のプロブレムの情報が混在している例(1)
添削8 SOAPに複数のプロブレムの情報が混在している例(2)
添削9 SOAPに複数のプロブレムの情報が混在している例(3)
添削10 プロブレムを見つけよう(1)
添削11 プロブレムを見つけよう(2)
添削12 プロブレムを見つけよう(3)
添削13 プロブレムを見つけよう(4)