ホントに意味がある? 論文から読み解く 看護のエビデンス20
普段何気なくおこなっているその看護手技、機器・器具使用のエビデンス知っていますか?
内容紹介
あまりに当たり前すぎて全く気にも留めないような看護手技が看護現場で毎日繰り返されています。
ではその手技のエビデンスを知っているでしょうか?
本書では普段何気なく行っている手技や、機器・器具の使用についてのエビデンスを論文から読み解くことが可能です。
しかしここで重要なことは“エビデンスがある=正しい”ではなく、エビデンスを知っていることが武器になるということです。
本書を通読することが、患者さんとの距離が近く、実際に様々な医療行為やケアをする看護職がエビデンスという視座を手に入れるはじめの一歩となるでしょう。
是非、根拠に基づいた実践(EBP)の、臨床実践へのエビデンス活用に向けた一歩を踏み出してみてください。
序文
本書は臨床における普段の看護実践にどのようなエビデンスがあるのかを示すことを大きな目標として執筆しました。
そしてそれはある程度達成できたとも感じています。
エビデンスを知った上で看護実践をするということは非常に重要なことだと思うので、「こんなエビデンスがあるんだ」と楽しみながら読んでいただけたら幸いです。
しかし、「エビデンスがある=正しいこと」ではありません。
一つのエビデンスで臨床実践がガラリと変わることは決して多くないからです。
ある介入に関する論文を検索すると有効という結果も無効という結果も出てくることが数多くあります。
またエビデンスだけで現場は変わりません。
それは根拠に基づいた実践(EBP)が現場で軽視されているからという単純な話ではなく、それぞれの現場には様々な組織文化・土壌があり、多様な職種がいて、様々な職位の人がいて、それぞれの利害関係がある、など様々な要素が絡んでいるからです。
つまり、「エビデンスがあれば正しい」も「エビデンスが無ければ正しくない」も誤りなのです。
クリアカットに割り切れない部分も感じて頂けたら幸いです。
そして、看護の現場では「それエビデンスあるの?」「これにはエビデンスがあります!」としばしばエビデンスが「ある」か「ない」かという二値的な語られ方をしますが、実際にはもう少し踏み込む必要があります。
研究デザインによって、またそれぞれの研究の内容によって、そのエビデンスの強みや弱みがあり、またそもそもエビデンスとして質の高いものもあれば低いものもあり、実践に活かす上ではその吟味が最も重要になるからです。
本書ではその吟味、実践への適用の詳細までは十分に論じられていません。しかしそれでも、エビデンスを知ることは武器になり得ると思います。
患者との距離も近く、実際に様々な医療行為やケアをする看護職がエビデンスという視座を手に入れられればより良い患者アウトカムが達成できると確信しているからです。
本書が根拠に基づいた実践(EBP)の、臨床実践へのエビデンスの活用に向けた一歩目を踏み出す人の一助になることを心から願っています。
目次
1-01.ダブルチェック
1-02.クーリング
1-03.せん妄
1-04.口腔ケア
1-05.身体拘束
1-06.体位変換
1-07.転倒
1-08.低血圧患者に対する下肢挙上の是非
1-09.麻痺側での血圧測定
2-01.駆血帯
2-02.採血時の手袋
2-03.指輪
2-04.キーボード
2-05.皮下注射前の消毒
2-06.聴診器
2-07.白衣
2-08.手指衛生の基本と最新のエビデンス
2-09.マスクはいつ着ける
2-10.末梢静脈カテーテル
2-11.膀胱留置カテーテル
トピックス
■2021.04.09
藍野大学短期大学部のウェブサイトに、本書出版に関する記事が公開されました。
藍野大学短期大学部 専攻科(地域看護学専攻) 修了生の古木秀明さんが執筆した書籍が出版されました。|学校法人 藍野大学
http://www.aino.ac.jp/2021/03/post-17.html