今日から使える薬局栄養指導Q&A
管理栄養士と医師による強力コラボで薬局栄養指導のお悩みを解決!
内容紹介
栄養学の基礎から病気と食品、慢性疾患に対する栄養指導、食品と健康をめぐるQ&A、さらには特定保健指導まで。
本書は、病態栄養の基本的な知識については必要最小限にとどめ、薬局での栄養相談で求められる知識はどの範囲だろう? 相談者が本当に欲しい答えや解決策は何だろう? 相談者のニーズを引き出すためにどんな質問をしたら良いのだろう? という、筆者たちが栄養アセスメントを行う上で大切にしていることを優先順位の高いものからなるべく多く盛り込んだ内容となっています。
薬局においても病気と食品、慢性疾患に対する栄養指導など、食に関する情報を気軽に得ることができれば、患者さんは不正確な情報源に頼らなくても済みます。多職種で連携してよりよい栄養指導を目指しましょう。本書がその助けになれば幸いです。
序文
全国の薬局数はここ20年で大幅に数を増やし、今ではコンビニエンスストアの数を上回る6万軒にものぼり、調剤や薬の販売だけでなく食料品から日用品まで取り扱い、地域の高齢者向けの健康カフェなど交流の場としての役割も期待されています。大手ドラッグストアチェーンでは管理栄養士の採用も行っており、薬局での顧客に対する栄養相談ニーズの高まりが感じられます。多くの店舗では薬剤師や登録販売者が顧客の栄養相談に対応していることと思いますが、栄養学や食事療法の知識が十分にないままに相談を受け、答えを返すことに不安を感じていたり、どのような答えを返したら良いか悩んでいる人も多いことと思います。
本書では、病態栄養の基本的な知識については必要最小限にとどめ、薬局での栄養相談で求められる知識はどの範囲だろう? 相談者が本当に欲しい答えや解決策は何だろう? 相談者のニーズを引き出すためにどんな質問をしたら良いのだろう? という、筆者が栄養アセスメントを行う上で大切にしていることを優先順位の高いものからなるべく多く盛り込むよう心がけました。
本当に役に立つ栄養相談の本をつくろうというコンセプトで執筆してきましたが、筆者の期待通りの仕上がりになっているかは、手にとってくださった皆様の評価にお任せしたいと思います。ご意見や感想、使用してみて内容の不備や問題の指摘などありましたら、今後の参考としますのでどうぞお願いします。
最後になりますが、幅広い医療知識も求められる薬局での栄養相談本は共同執筆者である、名取宏氏に感謝の意を捧げたいと思います。本を書き始めてすぐ編集者にこれは無理だと泣きを入れる前に、ダメ元で相談したところ、執筆を快諾してくれました。もしもそうでなかったら本書は日の目を見ることがなかったでしょう。特定保健指導の項目を執筆いただいた青木淑恵氏にも筆者が未経験の分野を知ったかぶりで書かないで済んだことを感謝しております。
2022年1月
成田崇信
患者さんの食への関心は高く、そのため食事や食品に関する健康情報はあふれています。しかしながら、週刊誌、テレビ番組、インターネットニュース、一般書籍などには不確かで不正確な情報がたくさんあります。古くからある迷信のたぐいから「がんを治す」と称する怪しい情報までさまざまです。糖尿病や肥満をはじめとして食事が病態に直結する疾患は多くあり、また、治療だけではなく予防にも広くかかわってきます。食に関する不正確な知識は患者さんの健康に悪影響を与えます。
診察室において患者さんからご質問してくだされば訂正する機会がありますが、混んでいる外来では遠慮している患者さんもいらっしゃるでしょう。それに、医師は疾患をメインに考える傾向があり、「体重を減らしましょう」「塩分控え目に」「バランスよい食事を」などと言うだけで、では具体的にどうすればいいのかといったアドバイスは苦手です。
そこで栄養指導が重要になります。とくに薬局における栄養指導は、外来の患者さんに食に関する正確な情報を伝えるのに大きな役割を果たすことができるでしょう。栄養士や薬剤師が関わることで、疾患だけに注目するのではなく、患者さんの生活習慣や嗜好に配慮したより細やかで具体的なサポートが期待されています。薬剤と食品の相互作用など、薬のスペシャリストである薬剤師が専門性を発揮できる場面もあるでしょう。
薬剤と比べて、食事や食品が健康に与える影響は介入試験で検証しにくく複雑で、エビデンスは限定的です。一方で、食事に対する適切な介入は、副作用は少なく、コストも小さく、長期間にわたって健康状態を改善する力を持っています。利用可能なエビデンスをしっかりと把握した上で、エビデンスのみにとらわれることなく患者さんの価値観や実行可能性も配慮した栄養指導を心掛けたいものです。なるべく食の楽しみを損なうことがない栄養指導は長続きし、患者さんを助けることになるでしょう。
薬局においても食に関する情報を気軽に得ることができれば、患者さんは不正確な情報源に頼らなくても済みます。多職種で連携してよりよい栄養指導を目指しましょう。本書がその助けになれば幸いです。
2022年1月
名取宏
目次
Part1 栄養学の基礎
1 1日3食食べないとだめですか?
2 タンパク質はなにから摂ったらよいでしょうか?
3 野菜は1日どれだけ摂ればいいいいですか?
4 ベジタリアンは栄養を十分に摂ることができますか?
5 薬局で可能な誤嚥・低栄養対策
対談:健康食品① いわゆる健康食品とどう付き合う?
Part2 病気と食品
1 関節リウマチに効く食品はありますか?
2 痛風ですがビールを飲みたい
3 納豆を食べていたら抗血小板薬をやめてもいいですか?
4 熱中症対策は経口補水液じゃないとだめですか?
5 白い食べものが体に悪いって本当ですか?
6 コラーゲンを摂れば床ずれが治りやすくなりますか?
7 風邪のとき、あっさりしたものと栄養たっぷりなもの、どちらを摂るのがいいですか?
対談:健康食品② 保健機能食品
Part3 慢性疾患に対する栄養指導
1 脂質異常症の食事はなにを注意したらよいですか?
2 糖尿病の食事はなにを注意したらいいですか?
3 貧血の食事はなにを気にしたらよいですか?
4 減塩
5 肝硬変によく効く食事はなんですか?
6 慢性腎臓病(CKD)によく効く食事はなんですか?
7 胃腸の調子がよくないときの食事はどうしたらよいですか?
Part4 食品と健康をめぐるQ&A
≫ がんが消える食品はありますか?
≫ 新型コロナの予防に役立つ食事はありますか?
≫ 「卵は一日一個まで」は正しい?
≫ 日本人の腸が長いって本当?
≫ 親やパートナーがサプリメントにはまって困っています。どうすれば?
≫ 便秘によい食べものはありますか? ヨーグルト? 食物繊維?
≫ 地産地消は体にいい?
≫ 水道水は体に悪い? 健康によい水はありますか?
≫ コーヒーは体にいいという話と、体に悪いという話とがあります。どちらが正しい?
≫ 鶏の刺身は食べても大丈夫?
≫ 食品添加物は少なければ少ないほどいいですよね?
≫ 視力をよくしたいならブルーベリーを摂取したほうがいい?
≫ 薬に頼らず自力で血圧や血糖値を下げたいです。どうすれば?
≫ 「発酵食品は体にいい」とよく聞きます。本当?
≫ 植物食が最も体によく、次に魚、鶏、哺乳類の順にヒトから系統的に遠い生物を食べるのが体にいいと聞きました。科学的根拠はありますか?
≫ うなぎと梅干を一緒に食べてはいけない、いわゆる食べ合わせについては?
≫ 最近あまり聞きませんが、アルカリ性食品は体によいと言われていました。これは?
≫ 和食の基本の合言葉「まごわやさしい」は?
≫ 健康によいオイルはそのまま食べても健康によい?
≫ 血圧が高めの人はお酢や黒酢飲料を生活に取り入れたほうがよい?
≫ 食べもので免疫力アップって本当?
≫ 食べものでデトックスは?
補論:特定保健指導
付録
索引
著者プロフィール
COLUMN
ガイドラインに基づいたエネルギー設計
薬局でできる減量アドバイス
トピックス
■2021-12-28
noteでの連載「編集後記」にて、本書に関する記事を公開いたしました。
「編集後記」とは、新刊・好評書を中心に、金芳堂 編集部が本の概要と見どころ、特長、裏話、制作秘話をご紹介する連載企画です。また、本書の一部をサンプルとして立ち読みいただけるようにアップしております。
著者と編集担当がタッグを組んで作り上げた、渾身の一冊です。この「編集後記」を読んで、少しでも身近に感じていただき、末永くご愛用いただければ嬉しいです。
編集後記『今日から使える薬局栄養指導Q&A』|株式会社 金芳堂|note
https://note.com/kinpodo/n/nc6289178223b
■2022-02-22
本書に関する記事が毎日新聞「医療プレミア」にて取り上げられました。
「卵は1日1個まで?」「食品添加物は少ないほどいい?」気になる疑問に答えました | 健康をつくる栄養学のキホン | 成田崇信 | 毎日新聞「医療プレミア」
https://mainichi.jp/premier/health/articles/20220219/med/00m/100/007000c