この局面にこの一手! Dr.長澤直伝! 腎臓病患者マネジメントの定跡
この患者さんにはどうしたらいい? 腎臓病患者のマネジメントがこの1冊でわかる!
内容紹介
前著の『この局面にこの一手! Dr.長澤直伝! 腎臓病薬物療法の定跡』に続き、今回は腎臓病患者の日々の管理に焦点をあてました。そもそも薬物療法の土台には生活習慣や運動療法などの指導が不可欠です。また、腎臓病患者を継続的に診ていくためには、他科との連携や社会的な問題など、腎臓だけに限らない総合的な知識が必要になります。本書ではこうした腎臓病患者をマネジメントしていくうえで必要な情報や実際の診療における勘所について、実践してほしいこと、注意点をまとめました。本書を繰り返し読み、理解を深めていきましょう。
■姉妹本■『この局面にこの一手! Dr.長澤直伝! 腎臓病薬物療法の定跡』
この局面にこの一手! Dr.長澤直伝! 腎臓病薬物療法の定跡 – 株式会社 金芳堂
この局面にこの一手! Dr.長澤直伝! 腎臓病 血液透析の定跡 – 株式会社 金芳堂
序文
推薦のことば
『この局面にこの一手! Dr.長澤直伝! 腎臓病薬物療法の定跡』(金芳堂)など腎臓病治療に関する多くの著書を上梓されている長澤将先生が、新たに金芳堂で腎臓病患者マネージメントをテーマに本書を執筆されました。
初学者のみならず腎臓病診療を専門としない実地医家にとって何気なく行っている腎臓病患者に対するマネージメントについてアカデミックな視点とプラクティカルな視点をバランスよく取り入れて書かれており、とても腑に落ちる内容になっています。ユーモアあふれる軽妙な対話形式も楽しく、気楽に読んでいただきたい一冊として推薦いたします。
さて、エビデンスやガイドラインに記載されている内容は、手っ取り早く、ある程度妥当な選択肢を示してくれるかもしれませんが、実地臨床で遭遇する症例に盲目的に適応することはできません。ガイドラインの推奨の背景にある知見やロジックを理解したうえで、目の前の患者さんをトータルで捉えながら社会的なことも含めたリアルワールドを考慮して個別に最適化することが求められます。
本書は、長澤先生と指導する若手の先生との焼き肉屋などでの軽妙な問答を通して、腎臓病患者のマネージメントに必須なテーマについてわかりやすく解説されています。減塩やカリウム制限など、日常診療でごくごく一般的でありながら必ずしも深く掘り下げられない話題について、日本人の統計データや研究の流れなどに触れながら、現場で実践するうえでのポイントを理解することができる内容になっています。会話内に随所に出てくるお酒、料理、本、映画の話も長澤先生の幅広い知識がうかがえるとともに、あたかも実際に連れて行った/連れて行ってもらったお店でのやりとりを疑似体験しているように感じられ、あっという間に読み進めることができます。
また後半部分で取り上げられた国の制度と患者レベルでのお金の問題は、実地医家にとって必読の内容になっています。研修医の入門書としてのみならず、指導医の先生にとっても知識を整理できる良書として推薦いたします。
2022年2月
琉球大学病院血液浄化療法部診療教授
古波蔵健太郎
はじめに
東北大学病院の腎臓内科の長澤将です。
今回は前回の「薬物療法」の土台に相当する部分としての栄養や運動の基本的要素を解説しました。加えて、患者さんが使える医療制度についても書いております。
医学書となるとどうしても「どの病気にどの薬を使うのか!?」ということに目が行きがちですが、薬の効果を最大限に活かすためには、この土台となる栄養や運動がしっかりしている必要があります。これらについて、エビデンスがある部分を中心に解説しています。
診察室で会う患者さんは医師-患者の関係ですが、病院を一歩出れば、社会では上司として、あるいは部下として、家庭では父として夫として(母として妻として)生活しています。「美味しいものを食べたい!」という思いや、「もう少し運動をしなきゃいけないよな~」という思いなどを持っているはずです。そのような患者さんたちが治療に向き合ってもらう手伝いをするために、我々が食事や運動などのエビデンスをもとに落としどころを見つけていく必要があると考えています。
さらに、医療費で困っている患者さんは結構います。「え~っ、いないよ!」という場合は、患者さんが言い出していないだけかもしれません。本書を読んで、使えそうな部分があれば患者さんに提案してみてはいかがでしょうか?
本作も前作に続き、初期研修医の古賀先生、専攻医の里見先生の名コンビとともに進行しています。研修が進んだ古賀先生の成長を楽しんでいただき、腎臓内科の専攻医だったら里見先生のレベルが一つの到達目標になると思っております。
この本は医師だけのものだけではなく、ぜひ保健師や看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士、作業療法士などの運動療法を提供する方、そして製薬企業間連のMRやMA、MSなどの方も読むとよろしいかと思います。
もちろん、医療とはあまり関係ない方には、前回好評だった会話を娯楽的に読んでいただければと嬉しいです。
最後に本書の制作にあたり、前作に続いて編集を担当していただいた金芳堂の藤森祐介さま、「恥ずかしがり屋の熊さん」(名前の由来は前作をご覧ください)とその仲間たち(加わりました)、私をはじめ古賀先生、里見先生の絵を生み出して、本書の素敵なデザインを描いてくださったnaji designさんにこの場を借りて感謝を申し上げます。
いつも申し上げますが、本書を7回読んでいただき、いつでも本書に書いてあることを引き出して使えるようにすると役立つと思います。
最後に本書の執筆中に亡くなった田熊淑男先生。私が中学生時代に祖母の主治医をしていただき(それは後日両親から聞いたのですが)、潜在的に腎臓内科を目指すきっかけになったと思っています。後期研修医時代から指導をいただき、本当にありがとうございました。
この場を借りて感謝を申し上げます
2022年2月
長澤将
目次
推薦のことば
はじめに
プロローグ
第1局 食事指導
その壱 低タンパク食① 丸投げ禁止! その前に食事の基本を押さえてから
その弐 低タンパク食② LPDの実際、個別化へ
その参 減塩① 日常生活は塩分であふれている
その四 減塩② 血圧を下げるという代替物に注意! それ以上にきちんと血圧測定を
その五 減塩③ 塩分摂取の適正量はあるか? 極端に少ない場合は栄養状態の把握が必要
その六 カリウム CKDだから一律に野菜や果物を食べるな! という時代ではない!
その七 代謝性アシドーシス① CKDに伴うのは代謝性アシドーシス、こちらの確認から
その八 代謝性アシドーシス② 酸負荷の観点から食事を見る
その九 禁煙 酒とタバコと腎臓と:まずは禁煙、そこが第一歩
第2局 運動療法
その壱 最近のトレンドはCKDにも適度な運動
その弐 さあ運動! その前に運動療法の禁忌がないかをチェック
その参 実際の運動処方はこのくらい
その四 おまけの話
第3局 他科連携
その壱 腎臓内科的にはまず眼科
その弐 眼科の次は歯科
その参 その他の耳鼻科、糖尿病内科、血管外科、循環器内科など
第4局 社会制度関連
その壱 医療費の概要 大まかな医療費について
その弐 個人の医療費 目の前の患者さんは1年にどのくらい払っている?
その参 難病や人工腎臓に関わる医療制度 腎臓内科が気にするところ
その四 身体障害者手帳、更生医療、マル長 「透析患者の自己負担が少ない」ことのカラクリは、ずるではなくて国の制度
その五 生活保護 国の最初で最後のセーフティネット
その六 障害年金や働く人の健康 産業医的視点もあると便利
コラム
腎臓病に糖質制限は?
バナナより怖いもの
炭酸飲料でアシドーシスが悪くなりますか?
どんな環境で映画を観ていますか?
楽しく運動する時代になりそうな良い予感
これまで読んだ漫画で面白かったのは?
どのような人の曲を聴いていますか?
自分に余裕があるといいですね
海外の貧困
産業医的視点
エピローグ
むすびに
索引
著者プロフィール
トピックス
■2022-04-01
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