NAFLD/NASHの拾い上げができていますか? やさしくわかる脂肪肝の診かた

    定価 4,950円(本体 4,500円+税10%)
    橋本悦子
    元東京女子医科大学消化器内科教授
    戸張真紀
    順天堂大学消化器画像診断・治療学准教授
    B5判・148頁
    ISBN978-4-7653-1921-8
    2022年11月 刊行
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    専門医じゃなくてもできる。エキスパートが教える、日常診療に潜む「NAFLD」や「NASH」の拾い上げかた

    内容紹介

    近年、NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)、NASH(非アルコール性脂肪肝炎)など、いわゆる脂肪肝を有する患者数が増えてきており、国民病となっています。また、それらが肝硬変や肝癌に移行してしまうことがあり、最も重要な病因になるとも予測されています。

    かかりつけ医など、生活習慣病を診る医療者であれば日常的に脂肪肝患者に出会っているはずですが、それらを的確に診断し、拾い上げられている割合はそれほど多くはありません。実際、肥満者の半分以上がNAFLD患者であり、炎症を来してNASHに移行する前段階です。しかし、多くの症例は問題なく、肥満症と同じ感覚で、かかりつけ医による対応は十分可能です。その中でも、ごく一部の重症例を拾い上げて専門医に紹介することが、早期発見。治療へとつながるキーポイントです。

    本書では、NAFLD/NASHに精通した2名のエキスパートがこうした視点に基づく概要やコツを中心にまとめ解説しています。病態メカニズムの理解を基軸として、疾患概念、疫学、診断、治療、予後、最新の知見などNAFLD/NASH全体を網羅し、示唆に富む症例を多数呈示。また、NAFLD/NASH診断のため知っておくべき他の慢性肝疾患に関しても補足しています。

    序文

    今般、「NAFLD/NASHの拾い上げができていますか? やさしくわかる脂肪肝の診かた」を出版する運びとなりました。

    本書は、NAFLD/NASHに精通した2名のエキスパートによる執筆です。その結果、統一された構成となり、病態メカニズムの理解を基軸として、疾患概念、疫学、診断、治療、予後、最新の知見などNAFLD/NASH全体を網羅し、示唆に富む症例を多数呈示しました。また、NAFLD/NASH診断のため知っておくべき他の慢性肝疾患に関しても補足しました。図表を多用し視覚的に理解できる成書となったと確信しております。

    21世紀に入り、世界は飽食の時代となり運動不足も加わり肥満は急増しました。肥満は、生活習慣病、心血管イベント、発癌リスク因子ですが、さらに新型コロナウイルス重症化リスク因子であることも明らかとなりました。肥満は万病の元との認識を持つことが大切で、その克服は人類の大きな課題です。

    肥満を主な病因とする脂肪肝NAFLD/NASHは、わが国では成人の30~40%が罹患する国民病となりました。今後、肝硬変や肝癌の最も重要な病因となると予測されています。しかし、NAFLD/NASHで肝硬変に進行する症例の頻度は高くありません。そこで、肝硬変の前段階のNASH線維化進行例や肝硬変例の拾い上げが必要となります。本書が日夜医療に邁進されている医療従事者の方々に役立ち、ひいては国民健康増進に繋がることを期待しています。

    最後になりましたが、本書の刊行にあたり御尽力いただいた、金芳堂のスタッフの方々に心より感謝いたします。

    2022年9月
    橋本悦子

    目次

    序章 Step別に見るNAFLD/NASHの特徴と診療のポイント
    Part1 NAFLD/NASHの基礎知識

    【Chapter1】 NAFLD/NASHってなんだ?
    1 脂肪肝、そして、NAFLD/NASHとは
    1 脂肪肝とは
    2 脂肪肝の成因とNAFLD
    3 NAFLD/NASH命名の歴史的変遷
    4 NAFLD/NASHとアルコール性脂肪肝
    サイドメモ01 MAFLDとは?

    2 NAFLD/NASHの頻度は?
    1 疫学
    2 性・年齢による特徴
    3 肥満・生活習慣病とNAFLD
    4 遺伝的背景
    サイドメモ02 サルコペニアとは?

    【Chapter2】 NAFLD/NASHの特徴(病因/病態)
    1 病因
    1 内臓脂肪型肥満とインスリン抵抗性
    2 メタボリック症候群
    3 NAFLD/NASHの発症機序

    2 場面ごとに見られる特徴
    1 健康診断
    2 総合内科外来
    3 糖尿病外来
    4 循環器内科
    5 内分泌外来
    6 外科外来
    7 小児科
    症例1 小児NASH(12歳、女児)

    【Chapter3】 NAFLD/NASHの予後
    1 発症、経過、死因

    2 線維化の進行

    3 肝発癌
    症例2 NASH肝硬変での死亡例(32歳、男性)
    症例3 NASH肝硬変を基盤とした肝細胞癌(63歳、女性)
    症例4 NASH肝細胞癌(36歳、男性)

    4 Burned-outNASH
    症例5 Burned-outNASH(67歳、女性)

    Part2 NAFLD/NASHの診かたー診断・指導・治療までー

    【Chapter4】 NAFLD/NASH診断のコツ
    1 病歴と身体所見の取り方

    2 血液検査
    1 肝機能検査
    2 肝線維化スコアリングシステム

    3 画像検査
    1 肝脂肪変性の診断
    2 肝線維化診断

    4 組織診断

    5 肝線維化進展例の絞り込みフローチャート
    症例6 脂肪肝の中に潜んでいるNAFLD/NASH肝硬変(59歳、女性)

    6 鑑別診断
    症例7 アルコール性肝障害との鑑別が難しかった症例(44歳、男性)
    症例8 自己免疫性肝炎との鑑別を要したNASH(26歳、女性)
    症例9 B型肝炎とNAFLD(72歳、女性)
    症例10 C型肝炎とNAFLD(55歳、男性)

    7 専門医との連携
    1 線維化進行例・肝硬変
    2 肝細胞癌

    【Chapter5】 NAFLD/NASHの指導・治療法(病期・病態別アプローチ)
    1 治療の目標・早期診断の意義

    2 病態に応じた治療方針の立て方

    3 減量
    1 食事療法
    2 運動療法
    3 行動療法
    4 減量手術
    症例11 体重減少で完治したNAFLD(28歳、男性)

    4 薬物療法
    1 ビタミンE
    2 肝庇護薬
    3 新薬の開発状況について
    4 糖尿病治療薬
    5 脂質異常症改善薬
    6 降圧薬

    5 肝移植

    【Chapter6】 NAFLD/NASH診断のために知っておくべき肝疾患
    1 アルコール性肝障害
    1 アルコール健康障害
    2 アルコール性肝障害とは
    3 アルコール性肝障害診断基準
    サイドメモ03 アルコール代謝と肝障害
    サイドメモ04 アルコール依存症

    2 B型肝炎
    1 B型肝炎について
    2 B型肝炎の自然経過
    3 治療
    4 B型肝炎ウイルス再活性化
    サイドメモ05 急性肝炎

    3 C型肝炎
    1 C型肝炎とは
    2 C型肝炎の診断
    3 C型肝炎の経過
    4 治療
    5 今後の課題

    4 自己免疫性肝炎
    1 自己免疫性肝炎(Autoimmune Hepatitis:AIH)とは
    2 自己免疫性肝炎診断基準

    5 薬物性肝障害(drug-induced liver injury:DILI)
    1 薬物性肝障害とは
    サイドメモ06 アザチオプリンとNUDT15遺伝子多型
    2 薬物性肝障害の診断基準

    6 肝硬変
    1 肝硬変とは
    2 肝硬変の診断

    7 肝癌
    1 肝癌とは
    2 肝細胞癌:診断・治療アルゴリズム

    参考文献
    索引

    執筆者一覧

    ■著
    橋本悦子 元東京女子医科大学消化器内科教授
    戸張真紀 順天堂大学消化器画像診断・治療学准教授

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