子どもの訴えを見極める ナースのための小児フィジカルアセスメント
バイタルサイン、生理学的徴候、トリアージ、症状別の見るべきポイントまで完全カバー

    定価 4,400円(本体 4,000円+税10%)
    編集伊原崇晃
    兵庫県立尼崎総合医療センター小児科
    A5判・373頁
    ISBN978-4-7653-1928-7
    2022年12月 刊行
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    内容紹介

    病院を訪れる子どもは、何がつらいのか症状をうまく訴えられない。その訴えを気づく方法としてフィジカルアセスメントが有効な手段である。本書の小児フィジカルアセスメントの基本編では全ての主訴に共通するABCDアプローチとバイタルサイン、それらを組み合わせたうえで行うトリアージについてまとめ、症候編では様々な症候に対して、症例を提示し、解剖学的用語の説明、除外すべき怖い疾患、問診・視診・触診・聴診を通して情報を集めて、患児の状態・状況を判断する。この書籍で看護師さんがそれぞれの身体所見を正しく確認し、自信をもって患児の状態を評価できるようになる。

    序文

    小児を診る時、職種に関わらず身体診察(フィジカルアセスメント)を大切にすると思います。病院に訪れる子どもは、大人のように症状をうまく訴えられなくても、何が辛いのか、全身で訴えています。その訴えに気付く方法としてフィジカルアセスメントは有効な手段です。さらにはフィジカルアセスメントをうまく活用することで侵襲のある検査を省いたり、そのために要する人手や時間も節約できたりするかもしれません。

    この本では「看護師さんがそれぞれの身体所見を正しく確認し、自信をもって患児の状態を評価できること」を目指しています。なので、この本を読んだ方が「先生、この子を急いで診てください!理由は○○です」と自信を持って言えるようになれば、目的を達成できているかと思います。

    今回、その目標を達するために執筆者の先生達には二つのお願いをしました。一つ目は周囲の看護師さん達をよく観て、この本を手にとる読者の皆さんの顔を想像することです。まず、この本を手に取る看護師さんはどういった方でしょうか。この本のそれぞれの項目を、どのような状況で、何を想像しながら読むのでしょうか。そこを想像することでどういった知識や考え方が必要なのか、家族から受診相談された時にどうするか、帰宅前のホームケアなど、現場で実践できる内容になりました。

    二つ目はそれぞれの著者の先生達のこだわりをしっかりと出すことです。フィジカルアセスメントは評価する工夫や目安など、ちょっとしたことで精度は上がります。そのため、同じ所見が異なった病状で繰り返し登場しますが、その評価の方法にそれぞれのこだわりが出ています。そこを読み比べてみても面白いでしょう。

    構成は大きく1.小児フィジカルアセスメントの基本編、2.小児フィジカルアセスメントの症候編の二つに分かれています。

    1.小児フィジカルアセスメントの基本編では全ての主訴で共通するABCDアプローチとバイタルサイン、それらを組み合わせたうえで行うトリアージについてまとめてあります。症候編を読む前にぜひ一読ください。

    2.小児フィジカルアセスメントの症候編では様々な症候に対して、症例を提示し、解説で何度も出てくる解剖学的用語の説明、除外すべき怖い疾患、実際にどこをどんな風に見て、聴いて、触るのか、細かく説明していく構成になっています。

    みなさんの正しい医学知識が、子どもたちの笑顔につながります。この本が明日からの臨床にお役に立つことができたら幸いです。

    2022年10月
    伊原崇晃

    目次

    第1章 小児フィジカルアセスメントの基本編

    Ⅰ 見た目の異常
    Ⅱ 気道の異常
    Ⅲ 呼吸の異常
    Ⅳ 循環の異常
    Ⅴ 意識の異常
    Ⅵ バイタルサイン
    Ⅶ トリアージ

    「第1章 小児フィジカルアセスメントの基本編」は、下記の項目を基本に構成されています。

    ① Point
    ② Pointの説明
    ③ みるべき項目
    ④ 悩ましいときの対応
    ⑤ 異常時の行動
    ⑥ まとめ

    第2章 小児フィジカルアセスメントの症候編

    1 熱が出た
    2 嘔吐
    3 歩き方がおかしい
    4 腹痛
    5 咳が出る
    6 頭を打った
    7 何かを飲み込んだ
    8 けいれんした
    9 呼吸が苦しい
    10 泣き止まない乳児
    11 腕や足をけがした
    12 飲めない
    13 耳が痛い
    14 ぶつぶつが出た
    15 目が赤い
    16 風邪をひいた
    17 胸が痛い
    18 おちんちん・お股が痛い
    19 便が出ない
    20 首が曲がっている
    21 喉が痛い
    22 脱水が心配
    23 意識がおかしい
    24 けがで血が出ている
    25 やけどをした
    26 便の色がおかしい
    27 一時的に意識が変だった
    28 頭が痛い

    「第2章 小児フィジカルアセスメントの症候編」は、下記の項目を基本に構成されています。

    – 症例
    – 解剖用語を知ろう
    – 怖い病気
    – 見る
    – 聴く
    – 触る
    – 上級者向け

    執筆者一覧

    ■編著者
    伊原崇晃    兵庫県立尼崎総合医療センター小児科

    ■執筆者一覧(執筆順)
    岸部峻     東京都立小児総合医療センター救命救急科
    伊原崇晃    兵庫県立尼崎総合医療センター小児科
    杉浦健太    東京都立小児総合医療センター救命救急科
    手塚宜行    岐阜大学大学院医学系研究科感染症寄附講座
    山田拓也    湘南鎌倉総合病院救急総合診療科
    河田奈々子   東京都立小児総合医療センター神経内科
    岩脇史郎    群馬大学大学院医学系研究科小児科学分野
    吉野豪     兵庫県立こども病院救急科
    河上哲朗    湘南鎌倉総合病院救急総合診療科
    木下正和    東京都立小児総合医療センター救命救急科
    小林揚子    国立精神神経医療研究センター脳神経小児科
    加藤正吾    関西医科大学小児科学講座
    永澤俊     宮崎大学医学部生殖発達学講座小児科学分野
    阿部昂太    東京女子医科大学八千代医療センター小児科/小児救急科
    南征樹     倉敷中央病院小児科
    佐藤聖子    鶴岡市立荘内病院小児科
    安齋祐子    おおたかの森こどもクリニック
    飯尾一輝    東京都立小児総合医療センター救命救急科
    渥美ゆかり   兵庫県立尼崎総合医療センター小児科
    竹平健     榊原記念病院小児循環器科
    百々(松村)治 京都大学大学院医学研究科
    広田幸穂    兵庫県立こども病院循環器内科
    杉浦由希子   ほっちのロッヂの診療所
    福田憲太郎   東京都立小児総合医療センター臨床遺伝科
    二木良平    国立成育医療研究センター総合診療部
    安心院千裕   静岡県立こども病院循環器科
    岡田紘輔    広島大学医学部救急集中治療医学
    大和田淳也   板橋中央総合病院小児科
    原佑太朗    沖縄県立南部医療センター・こども医療センター
    黒田駿     東京都立小児総合医療センター救命救急科
    土屋宏人    公立昭和病院救急科

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