実践上、ここがポイント! 人間ドックの上部消化管内視鏡検査

    定価 5,720円(本体 5,200円+税10%)
    編集井上和彦
    淳風会健康管理センター
    B5判・240頁
    ISBN978-4-7653-1932-4
    2023年02月 刊行
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    人間ドックで上部内視鏡検査を実践している医師たちへ!

    内容紹介

    咽喉頭から十二指腸下行部まで、胃がんはもちろん、胃がん以外の病変や良性疾患を含むスクリーニング検査の基本を網羅しました。また、背景胃粘膜診断(内視鏡および血液検査)、前処置における鎮静剤使用の可否など、任意型検診における上部消化管内視鏡検査を行ううえで役立つポイントを体系的にまとめています。人間ドックの上部内視鏡検査に関わるすべての医療者に読んでいただきたい内容です。

    序文

    私が初めて人間ドック内視鏡に関わりを持ったのは、広島大学第一内科から松江赤十字病院消化器内科に派遣された1993年のことです。当時、年間約1万件の上部消化管内視鏡検査(内視鏡)の約半数を人間ドック・健診の検査が占めていました。そして、人間ドック受診者の中では90%近くの人が上部消化管検査として内視鏡を選択していました。その内視鏡スクリーニングの成績をまとめますと、胃がん発見率・早期胃がん率は高く、内視鏡切除で治癒できた粘膜内がんも多く、受診者のQOL維持には貢献できていました。しかしながら、発見した胃がんの前年度内視鏡画像の見直しを行いますと、偽陰性(見落とし)ではないかと思われる事例も見受けられました。そして、人間ドック・健診・検診における内視鏡スクリーニングの普及には「標準化」と「対象の集約」が大切であることを学会などで繰り返し発表してきました。

    その後、内視鏡診療・機器の進歩は目覚ましく、ファイバースコープから電子内視鏡に置き変わり、経鼻挿入も可能な細径スコープの性能も著しく向上し、画像強調観察(image enhanced endoscopy:IEE)も使用できるようになっています。さらに臨床では拡大内視鏡による診断も普及しており、いずれスクリーニングにも導入されると思われます。

    内視鏡スクリーニングの最大のターゲットは胃がんです。内視鏡では胃がん診断はもとより、その発生に強く関与しているH.pylori感染状態を中心とした背景胃粘膜の評価も重要です。わが国においてはH.pylori感染率が急速に低下し、保険診療による除菌治療も普及しています。それに伴い上部消化管の疾患スペクトルも変わってきています。また、人間ドックではがんのみならず逆流性食道炎などの良性疾患への対応も求められます。

    本書では、消化器内視鏡のスペシャリストで、人間ドックやがん検診にも造詣の深い先生方に執筆をお願いし、「人間ドック内視鏡実施前の重要確認事項」、「人間ドック内視鏡観察の実践ポイント」、「人間ドック内視鏡:私の流儀」、「人間ドック内視鏡で発見された病変(症例アトラス)」を構成しました。人間ドック内視鏡実践におけるスペシャリストのちょっとした“コツ”がちりばめられています。内視鏡検査室に1冊ずつ置いていただき、ぜひ内視鏡検査の現場でご活用ください。

    私は長年内視鏡スクリーニングに携わり、受診者に優しい内視鏡を行うように心がけてきました。私たち医療スタッフにとっては内視鏡は日常的なものですが、受診者にとっては1年~数年に1回のもの、あるいは、初めてのケースもあり、緊張している人もいます。受診者お一人お一人に寄り添うように内視鏡を行うためにも、本書を役立てていただきたく存じます。

    本書が人間ドック内視鏡の「標準化」の一助になることを願っています。

    一般財団法人淳風会淳風会健康管理センターセンター長
    井上和彦

    目次

    Ⅰ 人間ドック内視鏡実施前の重要確認事項

    1 精度管理
    2 感染予防策
    3 医療安全
    4 インフォームド・コンセントと問診票
    5 鎮静薬と鎮痙薬

    Ⅱ 人間ドック内視鏡観察の実践ポイント

    A 観察のコツ:人間ドック内視鏡ではここに注意する!
    1 咽・喉頭の観察のコツ
    2 食道観察のコツ
    3 胃の網羅的観察
    4 十二指腸球部下行部の観察のコツ
    5 H.pylori感染診断のコツ

    B 画像強調:人間ドックではこのように活用する!
    1 色素内視鏡はこのように使う
    2 LCI・BLIはこのように使う
    3 NBI・TXIはこのように使う
    4 拡大観察は必要か?

    C 観察後の対応:生検やH.pylori感染診断はこうする!
    1 生検はどうする?
    2 H.pylori感染を疑った場合にはどうする

    Ⅲ 人間ドック内視鏡:私の流儀

    1 受診者にとってベストな経鼻内視鏡検査を目指して:より安全に、より正確に
    2 網羅的な観察
    3 受診者に優しく、高い精度で効率よく拾い上げる
    4 満足度の高い人間ドック胃カメラのために
    5 声をかける、きちんと伝える
    6 受診者に優しい人間ドック内視鏡:早く、楽に、正確に、そして、安全に

    Ⅳ 人間ドック内視鏡で発見された病変(症例アトラス)

    A 胃がん
    1 H.pylori現感染胃がん①/H.pylori現感染胃がん②
    2 H.pylori除菌後胃がん①/H.pylori除菌後胃がん②
    3 H.pylori未感染胃がん①/H.pylori未感染胃がん②/H.pylori未感染胃がん③

    B 胃がん以外の腫瘍
    1 咽頭がん
    2 食道扁平上皮がん
    3 バレット腺がん
    4 MALTリンパ腫
    5 十二指腸非乳頭部上皮性腫瘍

    C 良性病変
    1 逆流性食道炎
    2 好酸球性食道炎
    3 自己免疫性胃炎(A型胃炎)
    4 NHPH胃炎

    執筆者一覧

    ■編著者
    井上和彦  淳風会健康管理センター

    ■執筆者一覧(五十音順)
    足立経一  島根県環境保健公社総合健診センター
    市島諒二  日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科学分野
    井上和彦  淳風会健康管理センター
    入口陽介  東京都立がん検診センター
    入澤篤志  獨協医科大学医学部内科学(消化器)講座
    上堂文也  大阪国際がんセンター消化器科
    大洞昭博  朝日大学病院消化器内科
    小田丈二  東京都立がん検診センター
    勝又諒   川崎医科大学総合医療センター健康管理学
    加藤勝章  宮城県対がん協会がん検診センター
    鎌田智有  川崎医科大学総合医療センター健康管理学
    河合隆   東京医科大学消化器内視鏡学
    菊池大輔  虎の門病院消化器内科
    清盛亮祐  松山赤十字病院消化管内科
    藏原晃一  松山赤十字病院消化管内科
    小池智幸  東北大学病院消化器内科
    後藤田卓志 日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科学分野
    小林正明  新潟県立がんセンター新潟病院内科(消化器内科)
    清水勇一  国立病院機構北海道医療センター消化器内科
    鈴木志保  加古川中央市民病院消化器内科
    砂金彩   川崎医科大学総合医療センター健康管理学
    武進    日本鋼管福山病院消化器内科
    寺尾秀一  加古川中央市民病院消化器内科
    中村純   福島県立医科大学附属病院内視鏡診療部
    原裕一   松山赤十字病院消化管内科
    半田修   川崎医科大学消化器内科学
    引地拓人  福島県立医科大学附属病院内視鏡診療部
    日山亨   広島大学保健管理センター
    平川克哉  福岡赤十字病院消化器内科
    正宗淳   東北大学病院消化器内科
    眞部紀明  川崎医科大学総合医療センター検査診断学(内視鏡・超音波)
    間部克裕  淳風会健康管理センター倉敷
    村尾高久  川崎医科大学総合医療センター健康管理学
    山宮知   獨協医科大学医学部内科学(消化器)講座
    吉村大輔  国立病院機構九州医療センター消化器内科
    吉村理江  博愛会人間ドックセンターウェルネス

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