「毒舌ツクモ神の外科道具絵巻」手術器械の正しい使い方がよくわかる!
すべての手技は道具を知ることから始まる!
内容紹介
手技は道具とともにある。
一つ一つの道具についてよく知り、また道具を通じて一つ一つの動作を見直すことで外科の基本スキルも確実にレベルアップできる。
外科の基本をまとめた書籍は様々あるが、手術道具(手術器械)に焦点を当てた書籍は少ない。
しかも「手術器械の道具箱」が案内役のキャラクターになった書籍(小説風本格手術書)なんて…。
本書は、再建外科医・形成外科医の執筆陣が、手術道具(手術器械)の正しく使い方、美しい使いこなし方、その機能と動作の基本、および小外科手術の実際について、手術道具のツクモ神(道具の精霊・妖怪のキャラクター)を案内役としたストーリー仕立ての絵物語で、楽しく読めて学べる作りになっています。
ビジュアル解説+ストーリーで展開する外科道具にまつわる不思議な絵物語の世界をお楽しみください!
序文
職人の腕前は道具を見れば分かるといいます。道具には機能があり、機能を生かすには構造を知って正しく使う必要があります。良い道具、道具の知識、それらを使いこなす腕前、三つがそろって初めていい仕事ができるのではないでしょうか。私たち外科医や手術室看護師にとって手術器械は仕事道具。良い手術は道具を熟知していないとできません。そして、それが患者さんの利益につながり・・・
な~んて堅苦しい話ではなく、手術台の上に並べられた手術器械って美しいと思いませんか? 形を見れば機能が想像できるのもあれば、いったいどうやって使うのかというような不思議な形をしているものもあります。出番を待って整列している姿は愛おしく、手に取って動かしたくなります。それらには名前もついていて、サイズによって記号や番号もついています。手術器械を使って手術を行うことを生業としている私たちとしては、正しく呼んであげて、正しく使ってあげようではないですか。
この本の案内役は、手術器械の道具箱です。この設定の段階で、この本が堅苦しい教科書ではないことがお分かり頂けると思います。外科医のみなさん、手術室看護師のみなさん、それ以外の方にも、楽しんで読んで頂けると幸いです。
2023年5月
文 形成外科医 寺尾保信
図説 形成外科医 木村武一郎
挿画 形成外科医 去川俊二
目次
はじめに
プロローグ はじまりの話
【基本編】
壱 まずは、皮膚腫瘍を極めよう
1 切る(皮膚切開・メスの種類と使い方)
2 持つ(皮膚の把持 鑷子の種類と使い方)
3 縫う(皮膚の縫合 持針器の種類と使い方)
4 剪る(糸や組織の切離と剥離 剪刀の種類と使い方)
弍 つぎに、皮下腫瘍も制覇!
1 開く(術野の展開 鈎と開創器の使い方)
2 摘まむ(止血と組織の把持 鉗子の使い方)
3 剥がす(組織の剥離 鉗子と剪刀の種類と使い方)
4 焼く(組織の焼灼 電気メスとバイポーラーの使い方)
参 感染創も怖くない!
1 刮ぐ(感染創のデブリードマン 剪刀、メス、鋭匙、リウエルの使い方
2 洗う(創の洗浄とドレナージ シリンジとドレーンの種類と使い方)
3 整える(wound bed preparation 陰圧閉鎖療法システムの使い方)
四 準備と仕上げも怠るな!
1 乗せる(体位の工夫 手術台の使い方)
2 鎮める(局麻の極意 注射器と針の使い方)
3 締める(駆血と止血 エスマルヒとターニケットの使い方)
4 覆う(創のケア 被覆材とサージカルテープの使い方)
【実践編】
壱 小外科の極意
1 粉瘤の切除
2 脂肪腫の切除
3 陥入爪の切除
4 リンパ節生検
5 瘢痕形成術
弍 外傷の極意
1 顔の外傷
2 口唇の外傷
3 手の外傷
4 ペット咬傷
COLUMN ちょっとひといき
古い道具とオーダーメイド
知ってる?手術道具名の起源
エピローグ その後の話
索引
おわりに