薬学生のためのワークブック チーム医療で薬剤師に必要な 多職種とのコミュニケーションがわかる!

    定価 2,970円(本体 2,700円+税10%)
    編著野田幸裕
    名城大学薬学部臨床薬学教育・研究推進センター病態解析学Ⅰ教授
    B5判・148頁
    ISBN978-4-7653-1998-0
    2024年03月 刊行
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    学んだことを書き込んで復習できる! 薬学生向けの「チーム医療、多職種連携や他職種とのコミュニケーション」を学ぶためのワークブック形式のテキストが登場!

    内容紹介

    近年、薬剤師業務は、対物から対人へとシフトしています。また、医療の高度化・複雑化に伴い医療従事者の業務が増大し、チーム医療の重要性が唱えられていいます。そのような現状に対応すべく、薬学部を持つ大学では、コミュニケーションや多職種連携の授業に力を入れています。

    名城大学薬学部では、名古屋大学医学部、藤田医科大学や愛知医科大学と教育・研究連携して「なごやIPEネットワーク」を構築し、コミュニケーションや多職種連携の教育を実践しています。その教育内容をベースに、薬学生向けに、患者対応、多職種連携、地域医療が学べる教科書を作りました。

    本書の第1章から第4章までは「患者対応、多職種連携、地域医療」に関して薬学生が知っておくべき事項を丁寧に解説し、第5章では、代表的な8疾患の実践的な症例を通じて、患者に最適な医療を提供するための患者対応、多職種連携、地域医療における必要なコミュニケーションスキルを身につけることができるような内容としました。

    いずれの章においても、重要な項目・内容などを「ワーク」「ワークシート」として課題を提示しており、重要なポイントや演習のポイントが理解しやすいように構成しています。

    序文

    近年、医療の高度化・複雑化に伴い、薬剤師業務は対物から対人へとシフトし、タスク・シフト/シェアの推進、チーム医療の重要性が唱えられています。医学・看護学教育においては、既にコミュニケーションや多職種連携の教育に力を入れていますが、薬学教育においては、卒前から医学・看護学生などと共に多職種連携教育を実践している例はまだ少ないです。特に、他の医療系学部を有していない薬系大学における多職種連携教育の実践は重要な課題です。名城大学薬学部では、名古屋大学医学部、藤田医科大学や愛知医科大学との教育・研究連携を活かして2011年に「なごやIPEネットワーク」を構築し、コミュニケーションや多職種連携の教育を実践しています。これまでに、コミュニケーションや多職種連携の教育に関する医療者向けの書物は散見されますが、薬学生向けの教科書はありませんでした。そこで、「なごやIPEネットワーク」で取り組んでいますコミュニケーションや多職種連携の授業等をベースに薬学生向けの患者対応、多職種連携、地域医療の教科書の作成に関係者と取組みました。その結果、薬学生には実務実習前に薬剤師に求められるコミュニケーションや多職種連携の理解が促進されるように実践的な内容を取入れた構成としました。

    本教科書では、導入講義やグループワークを踏まえて、第1章では多職種連携教育を実践するための基本となる多職種連携とチーム医療、および多職種連携と地域連携の重要性について解説します。第2章では「チーム」の機能をよりよくする「チームビルディング」に必要なコミュニケーション、そして他の医療専門職の意見を聞き、自分の意見もしっかり述べる「アサーション」について解説します。第3章ではチーム医療に関わる医療専門職の名前や役割について解説するとともに、それらを学ぶためのツールとしてカードゲームを紹介します。第4章では薬剤師、医師と看護師がどのように病院や保険薬局で連携するのか、病院や保険薬局で想定されるそれぞれの立場での連携を解説します。最後の第5章では代表的な8疾患の実践的な症例を通じて、患者に最適な医療を提供するための患者対応、多職種連携、地域医療における必要なコミュニケーションスキルを身につけることを目指します。すなわち、薬剤師としての役割をより深く理解して自身の考えやアプローチを提示しながら、異なる専門職との連携における具体的な課題や解決策を考える能力を高めます。それらを取りまとめて療養生活支援計画を立案し、チーム医療に必要な問題解決能力を習得します。さらに、いずれの章においても重要な項目・内容などを「ワーク」「ワークシート」として課題提示することで、重要なポイントや演習のポイントが理解しやすいように構成しました。

    このように薬学生向きの多職種連携教育に関する教科書の発行が、薬学教育だけでなく、他の医療者教育に関係する多くの方々のご参考になれば幸いです。

    2024年2月
    野田幸裕

    目次

    第1章 多職種連携とチーム医療・地域連携

    はじめに

    ①多職種連携とチーム医療
    ⅰ 多職種と多職種連携および他職種と他職種連携
    ⅱ 多職種連携
    ⅲ チーム医療と多職種連携の違い
    ⅳ 多職種連携の重要性
    ⅴ 多職種連携での注意点
    ⅵ 多職種連携における薬剤師の役割
    ⅶ 多職種連携の課題

    ②多職種連携と地域連携
    ⅰ 地域包括ケアシステムの必要性
    ⅱ 地域包括ケアシステム
    ⅲ 在宅医療での多職種連携の重要性
    ⅳ 地域での多職種連携における薬剤師
    ⅴ 在宅医療の現状と課題

    おわりに

    第2章 他職種とのコミュニケーション

    はじめに

    ①チームビルディング
    ⅰ 第1ステップ:チームの目標およびメンバーの選定
    ⅱ 第2ステップ:役割を決める
    ⅲ 第3ステップ:チームの機能を発揮するプロセス

    ②アサーティブな態度でチームに関わるには
    ⅰ アサーティブな態度を身につける言語表現
    ⅱ アサーティブな態度で対応するためには

    おわりに

    第3章 チーム医療における各職種の役割

    はじめに

    各職種の役割
    ①医師(Medical Doctor/Physician)
    ②歯科医師(Dentist)
    ③歯科衛生士(Dental Hygienist)
    ④歯科技工士(Dental Technician)
    ⑤薬剤師(Pharmacist)
    ⑥看護師(Nurse)
    ⑦保健師(Public Health Nurse)
    ⑧助産師(Midwife)
    ⑨栄養士(Dietician)
    ⑩公認心理師(Certified Public Psychologist:CP)・臨床心理士(Clinical Psychologist:CP)
    ⑪診療放射線技師(Radiological Technologist)
    ⑫臨床検査技師(Medical Laboratory Technician)
    ⑬細胞検査士(Cytotechnologist:CT)
    ⑭理学療法士(Physical Therapist/Physiotherapist:PT)
    ⑮作業療法士(Occupational Therapist:OT)
    ⑯言語聴覚士(Speech and Language Therapist:ST)
    ⑰視能訓練士(Certified Orthoptist:CO)
    ⑱臨床工学技士(Medical Engineer:ME/Clinical Engineer:CE)
    ⑲義肢装具士(Prosthetist and Orthotist:PO)
    ⑳救命救急士(Emergency Life-saving Technician)
    ㉑社会福祉士(Social Worker)
    ㉒精神保健福祉士(Mental Health Social Worker:MH/Psychiatric Social Worker:PSW)
    ㉓介護福祉士〔ケアワーカー(Certified Care Worker)〕
    ㉔訪問介護員〔ホームヘルパー(Home Helper)〕
    ㉕介護支援専門員〔ケアマネジャー(Care Manager)〕
    ㉖診療情報管理士(Health Information Manager:HIM)
    ㉗医療情報技師(Healthcare Information Technologist)
    ㉘医療事務(Medical Assistan)・医師事務作業補助者〔医療クラーク(Medical Clark)〕
    ㉙宗教家〔Spiritual Care Provider/チャプレン(Chaplain)〕

    おわりに

    第4章 薬剤師と代表的な医療専門職(種)(医師や看護師)との連携の仕方

    はじめに

    ① 薬剤師→医師・看護師
    ⅰ 病院での薬剤師と医師・看護師との連携の仕方(図4-1)
    ⅱ 保険薬局における薬剤師と医師・看護師との連携の仕方(図4-2)

    ② 医師→薬剤師・看護師
    ⅰ 病院での医師と薬剤師・看護師との連携の仕方
    ⅱ 保険薬局における医師と薬剤師・看護師との連携の仕方

    ③ 看護師→薬剤師・医師
    ⅰ 病棟での看護師と薬剤師・医師との連携の仕方
    ⅱ 保険薬局における看護師と薬剤師・医師との連携の仕方

    おわりに

    第5章 ワークブック

    はじめに

    ①がん
    ⅰ 症例
    ⅱ 解釈モデル
    ⅲ 目標
    ⅳ 医療用語や事象を理解する
    ⅴ 患者を理解する
    ⅵ 患者や家族に医療面接
    ⅶ 療養生活支援計画
    ⅷ 本症例での薬学生に期待する視点

    ②高血圧
    ⅰ 症例
    ⅱ 解釈モデル
    ⅲ 目標
    ⅳ 医療用語や事象を理解する
    ⅴ 患者を理解する
    ⅵ 患者や家族に医療面接
    ⅶ 療養生活支援計画
    ⅷ 本症例での薬学生に期待する視点

    ③精神疾患
    ⅰ 症例
    ⅱ 解釈モデル
    ⅲ 目標
    ⅳ 医療用語や事象を理解する
    ⅴ 患者を理解する
    ⅵ 患者や家族に医療面接
    ⅶ 療養生活支援計画
    ⅷ 本症例での薬学生に期待する視点

    ④糖尿病
    ⅰ 症例
    ⅱ 解釈モデル
    ⅲ 目標
    ⅳ 医療用語や事象を理解する
    ⅴ 患者を理解する
    ⅵ 患者や家族に医療面接
    ⅶ 療養生活支援計画
    ⅷ 本症例での薬学生に期待する視点

    ⑤感染症
    ⅰ 症例
    ⅱ 解釈モデル
    ⅲ 目標
    ⅳ 医療用語や事象を理解する
    ⅴ 患者を理解する
    ⅵ 患者や家族に医療面接
    ⅶ 療養生活支援計画
    ⅷ 本症例での薬学生に期待する視点

    ⑥心疾患
    ⅰ 症例
    ⅱ 解釈モデル
    ⅲ 目標
    ⅳ 医療用語や事象を理解する
    ⅴ 患者を理解する
    ⅵ 患者や家族に医療面接
    ⅶ 療養生活支援計画
    ⅷ 本症例での薬学生に期待する視点

    ⑦アレルギー
    ⅰ 症例
    ⅱ 解釈モデル
    ⅲ 目標
    ⅳ 医療用語や事象を理解する
    ⅴ 患者を理解する
    ⅵ 患者や家族に医療面接
    ⅶ 療養生活支援計画
    ⅷ 本症例での薬学生に期待する視点

    ⑧脳血管
    ⅰ 症例
    ⅱ 解釈モデル
    ⅲ 目標
    ⅳ 医療用語や事象を理解する
    ⅴ 患者を理解する
    ⅵ 患者や家族に医療面接
    ⅶ 療養生活支援計画
    ⅷ 本症例での薬学生に期待する視点

    おわりに

    索引

    執筆者一覧

    ■編著
    野田幸裕   名城大学薬学部臨床薬学教育・研究推進センター病態解析学Ⅰ教授

    ■執筆者一覧(掲載順)
    半谷眞七子  名城大学薬学部病院薬学研究室准教授
    𠮷見陽    名城大学薬学部臨床薬学教育・研究推進センター病態解析学Ⅰ准教授
    守屋友加   名城大学薬学部臨床薬学教育・研究推進センター実践薬学Ⅰ助教
    亀井浩行   名城大学薬学部病院薬学研究室教授
    末松三奈   名古屋大学大学院医学系研究科地域医療教育学講座特任講師
    長谷川奈々子 The Elaine Marieb College of Nursing, University of Massachusetts Amherst Visiting Scholar
    稲垣孝行   名城大学薬学部臨床薬学教育・研究推進センター実践薬学Ⅰ准教授
    築山郁人   名城大学薬学部臨床薬学教育・研究推進センター病態解析学Ⅱ教授
    黒野俊介   名城大学薬学部臨床薬学教育・研究推進センター実践薬学Ⅰ教授
    長谷川洋一  名城大学薬学部臨床薬学教育・研究推進センター実践薬学Ⅰ教授
    伊東亜紀雄  名城大学薬学部臨床薬学教育・研究推進センター実践薬学Ⅰ准教授

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