在宅医のアタマの中が見える! 在宅医療の道しるべ

    定価 3,080円(本体 2,800円+税10%)
    横林賢一
    ほーむけあクリニック院長
    A5判・125頁
    ISBN978-4-7653-2001-6
    2024年06月 刊行
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    「生活している人を診る」視点に基づいた、より具体的なアドバイスや多様な取り組みを紹介!

    内容紹介

    在宅医療に携わる医療従事者数は年々増加しています。ただ、在宅医療を始めるといっても、お金のこと、人材の確保、患者さん・ご家族からの質問への対応など、「一体どうすればいいの?」と戸惑う人も多いと思います。そのような中、本書では、著者の経験に基づいたノウハウをもとに、在宅医療の全体像や押さえておくべきポイントについて広く深く紹介しました。在宅医ならではの患者への寄り添い方などもたくさんのイラストがあることで、頭に入りやすいでしょう。

    また、在宅フェローの学びの記録(ポートフォリオ)も紹介しているため、指導医が在宅フェロー(在宅医療プログラムの専攻医)の未経験領域を考慮して、適切な患者を割り当てられます。

    在宅医療を既に行っている人も、これから始めてみたいと考えている人にも役立つ、肩ひじを張らずに読める温かい一冊です。

    序文

    この本を手に取ってくださり、心より感謝申し上げます。本書は在宅医療の世界に足を踏み入れたばかりの医師、ケアマネジャー、看護師、薬剤師など専門職の方々に向けて書いています。「在宅医のアタマの中」を通じて、在宅医療の現場で必要な知識、考え方、さらには実際の対応方法について理解を深めていただくことが、本書の主な目的です。

    私は、日本在宅医学会(当時)のフォーマルなトレーニングを初めて受けて在宅医療専門医になった世代の一人です。これまでの経験と学びを皆様と共有することが、在宅医療を支えてきた先人への恩返しとなり、同時に在宅医療の発展と患者さんの笑顔につながると信じ、本書を執筆しました。

    在宅医療に関する書籍は数多く存在しますが、その多くは詳細で読破に時間を要するため、必要時に参照するという利用法が一般的です。本書は在宅医療の概要を簡潔に理解していただくために、寝転んで気軽に読めるスタイルを心がけました。

    本書の第1章では、患者さん宅での死亡診断の方法、予後予測、訪問診療時に重視すべきポイント、そして患者さんからの余命に関する質問への適切な対応方法など、実務に役立つ情報をお届けします。第2章では、在宅医療の現場でよく議論されるトピックスに着目し、点滴の必要性、最期の瞬間に立ち会うべきか、ACP(人生会議)のタイミングなどを、読者の皆さまと共に探求します。第3章では、疼痛コントロール、ポリファーマシーへの対応、意思決定支援など、在宅医療専門医に求められる能力に焦点を当て、当院の在宅フェローの学びの記録(ポートフォリオ)に、私の見解を交えて考察します。

    本書に掲載されているイラストは、久保田希先生(通称:のんちゃん)が手がけています。彼女は、私が広島大学医学部で教鞭を執っていた頃の学生で、一緒に「Jaroカフェ」というコミュニティカフェを立ち上げた仲間でもあります。現在は家庭医・在宅医として活躍しており、私たちのクリニックでもその才能を発揮してくれました。彼女の描くイラストはユーモアと温かさに溢れ、読者を魅了する力があります。素敵なイラストが、本書の理解を助け、読む楽しみを一層増すことでしょう。

    この本が、皆様の在宅医療に対する理解を深める一助となり、また心の中に温かい光を灯す一冊となれば幸いです。

    2024年5月
    横林賢一

    目次

    はじめに

    第1章 在宅医療ことはじめ(実務に役立つ情報)
    1 訪問診療と往診の違い
    2 在宅医療の開業のスタイル:1人医師、複数医師、外来と併設、在宅専門
    3 ソロ開業でもすべての臨時往診依頼に対応しないといけないのか
    4 スタッフの集め方
    5 在宅医療って儲かるの?
    6 在宅医療専門医の資格はとったほうがよいの?
    7 訪問診療開始となる2つのパターン
    8 定期訪問診療はドリフのいい湯だな
    9 患者さんのお家で探すもの~在宅医療のCGA~
    10 置き薬
    11 介護サービスはほどほどに~過ぎたるは及ばざるが如し~
    12 有床診療所という選択肢
    13 できたほうがよい手技
    14 発熱時の対応
    15 看取りの作法
    16 現実的な予後予測の方法

    第2章 在宅医療ならではのトピック(在宅医療の現場でよく議論されること)
    1 「自分らしさ」とか「寄り添う」とか
    2 “頑張らない”を許容する
    3 食べられなくなったら点滴をするのか
    4 独居でも自宅で最期を迎えられるか
    5 リハビリの目的
    6 本音と気遣いの間
    7 患者さんが幸せを感じるとき
    8 在宅医療のキーワードは和解
    9 最期の瞬間に立ち会わなくてもよいのか
    10 AD(事前指示)からACP(人生会議)へ
    11 いずれ来る死に備えない
    12 民間療法について尋ねられたら
    13 あとどのくらい生きられますかと聞かれたら
    14 願いのオーダーメイド
    15 在宅医療の枠を超えて

    第3章 在宅医療専門医に求められる能力(在宅フェローの学びの記録から)
    1 ポートフォリオとは
    2 認知症:個別性を重視した認知症終末期ケアの実践
    3 悪性腫瘍の症状管理:コントロールしやすい症状、難しい症状
    4 疼痛管理:疼痛コントロールの大まかな考え方
    5 高齢者のポリファーマシー:薬は足し算より引き算
    6 意思決定支援:ALS患者の胃瘻造設の選択
    7 摂食・嚥下障害:最期まで口から食べるために
    8 医療保険制度:全国在宅医療テストの実施
    9 多職種連携:地域ケア会議の実践
    10 呼吸不全患者への対応:ICFに基づいた呼吸リハビリテーション
    11 入院適応:短期間の入院を繰り返すという選択肢
    12 複雑事例への対応:生物・心理・社会モデルを用いたアプローチ
    13 家族ケア:家庭内の意見不一致への対応
    14 地域づくり:認知症初期集中支援チーム
    15 難病制度:在宅医療の5つの呪文
    16 振り返りのススメ

    コラム
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    索引
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    ■著
    横林賢一 ほーむけあクリニック院長

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