股関節学
第2版

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定価 41,800円(本体 38,000円+税10%)
監修一般社団法人 日本股関節学会
総編集菅野伸彦
大阪大学招へい教授
久保俊一
京都府立医科大学特任教授
B5判・1270頁
ISBN978-4-7653-2012-2
2024年11月 刊行
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股関節学の集大成! 日本股関節学会50周年を記念して10年ぶりの改訂。新規項目を含め、内容とイラストをさらに充実。股関節分野の臨床・研究・教育に携わるすべての方、必携。

内容紹介

2014年に出版された股関節学のバイブルが10年ぶりに改訂。根拠に基づく記述を基本とし、基礎的事項から臨床的事項まで、股関節に関するあらゆる知識を網羅している。今回の第2版では日本股関節学会が監修し、股関節分野に精通する国内屈指のスペシャリストが執筆した。

今回の改訂では、1版出版後のエビデンスを精査し、1000以上の新規文献を採用(文献総数 約4,400)、図表点数も大幅に増加(総数 約1,300点)、製品一覧を更新し200以上の製品写真を掲載している。

臨床面で大きく変化があった、特発性大腿骨頭壊死症と人工股関節の分野では、「特発性大腿骨頭壊死症診療ガイドライン2019」、「変形性股関節症診療ガイドライン2024 改訂第3 版」の内容を反映させた。また、「大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン2021(改訂第3版)」、「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン(2015 年版)」、「関節リウマチ診療ガイドライン2024 改訂」など、各種ガイドラインの最新情報も取り入れている。

股関節分野の臨床・研究・教育に携わるすべての方々にとって座右の書である。

序文

第2版の巻頭言

股関節学(久保俊一編著)が2014年に上梓されてから10年の歳月が流れた。お陰様で1000ページを超える大著でありながら、好評を得て各所で活用いただいている。

股関節は、骨盤と下肢を連結し身体の支持を行いながら、歩行という基本的な動作はもちろん労働やスポーツにおける多彩な動きを可能にし、日常の活動(ADL)や生活の質(QOL)に深く関係している。人体において重要な役目を持つ股関節の専門書として発刊された本書(初版)では、根拠にもとづく記述を大切にし、基礎から臨床まで股関節に関連するあらゆる専門的な事項を詳しく解説している。

改訂にあたっては前版の内容を継承しつつ、その時代に即した記述を加えた。基礎科学、診断学、治療学、手術進入法、小児の股関節疾患、成人の股関節疾患、人工股関節・人工骨頭治療学、知悉便覧というⅠ編からⅧ編の枠組みは堅持した。そして、10年の股関節学の進歩に照らして、専門的な見地から各項目の再点検を行い必要に応じて記述内容を入れ替えた。Ⅷ編の「知悉便覧」では、日常診療や臨床研究で役立つ「分類・基準・指標・計測値」、「日本で使用可能な人工股関節の一覧」を最も新しいものにするとともに、「日本における股関節データベース研究」と「股関節におけるリハビリテーション医学・医療の活用」の項目を追加した。

大幅に内容が改訂されたのは、特発性大腿骨頭壊死症と人工股関節の分野であり、「特発性大腿骨頭壊死症診療ガイドライン2019」、「変形性股関節症診療ガイドライン2024改訂第3版」の内容を反映させた。また、「大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン2021(改訂第3版)」、「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン(2015年版)」、「関節リウマチ診療ガイドライン2024改訂」などの各種ガイドラインの最新情報も取り入れた。

人工股関節では、高度クロスリンクポリエチレンとセラミックの活用により長期予後が良好になっている。大きな骨頭径の選択による安定性の向上は、高い活動性につながり、スポーツや芸術活動の許容度も重要なテーマとなっている。これらに関しては、近年の長期成績を示し、スポーツ・芸術活動をどこまで推奨できるかについて記述を加えた。また、手術成績を向上させるテクノロジーに関しては、特にナビゲーションやロボットの進歩について解説内容を更新した。

「知悉便覧」に新設した「日本における股関節データベース研究」では、日本整形外科学会の「Japanese Orthopaedic Association National Registry(JOANR)」だけでなく、股関節学会が中心となっている「骨切り術や関節鏡手術などの関節温存術」、厚生労働省指定難病研究班が中心になっている「特発性大腿骨頭壊死症」、などのデータベースに関しても概説した。欧米に負けないデータベースからすぐれた疫学的研究成果が生まれていることを知っていただきたい。

初版の出版計画をたてた2012年頃は専門医教育が注目され、専門性の意義が追究された時であった。翻って、現在は急激な少子高齢化のもと、複数の疾患や障害・病態が併存する重複障害が大きな課題になっている。専門性に加え総合力が問われ、医療に加えて介護や福祉の知識が必要とされる時代に移行しつつある。医療・介護・福祉のインフラストラクチャとされる「リハビリテーション医学・医療」に関する項目を「知悉便覧」に加えたのはそのためである。最良のADLやQOLを目指すリハビリテーション医学・医療のエッセンスを是非学んで欲しい。

本書の改訂に当たっては、日本股関節学会の監修のもと、菅野と久保が総編集者となり、編集者の稲葉、神野、杉山、中島とともに編集作業を行った。原稿作成は、股関節の分野に精通している先生方にお願いした。多忙にもかかわらずご尽力いただいたことに深く感謝する。また、将来の改訂も見据えて、各執筆者には日本股関節学会へ著作権を譲渡していただき、本書の著作権を日本股関節学会が保有することに承諾いただいたことにも深謝する。作画とイラストレーション編集に関しては、初版と同様に徳永大作先生に大変お世話になった。近年、1000ページを超える書物を出版するのはきわめて難しい中、サイズの小型化、ハードカバー導入、手際のよい制作業務などを行ってもらった出版社の金芳堂にお礼を申し上げる。

改訂された本書が、従前以上に活用され、股関節分野の臨床、研究、教育に携わるすべての方々に役立つことを心から願っている。

2024年10月
総編集者 菅野伸彦・久保俊一

目次

Ⅰ編 基礎科学
1章 発生学
2章 解剖学
3章 バイオメカニクス
4章 キネマティクス
5章 遺伝学
6章 骨質、骨代謝
7章 脊椎・骨盤・下肢アライメント
8章 生体材料
9章 摩耗とトライボロジー

Ⅱ編 診断学
1章 病歴と身体所見
2章 画像診断
3章 生理学的評価
4章 血液・生化学検査、関節液検査
5章 病理学的検査
6章 微生物学的検査
7章 股関節鏡検査
8章 アウトカム評価

Ⅲ編 治療学
1章 薬物療法
2章 運動療法
3章 装具療法とギプス療法
4章 手術療法

Ⅳ編 手術進入法
1章 前方進入法
2章 前外側進入法
3章 外側進入法
4章 後方・後外側進入法
5章 小児内側進入法
6章 小児広範囲展開法

Ⅴ編 小児の股関節疾患
1章 発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)
2章 Perthes病
3章 大腿骨頭すべり症
4章 小児の大腿骨近位部骨折
5章 骨系統疾患
6章 小児の感染性・炎症性疾患、小児のその他の疾患

Ⅵ編 成人の股関節疾患
1章 変形性股関節症
2章 特発性大腿骨頭壊死症
3章 症候性(2次性)大腿骨頭壊死症
4章 外傷性疾患
5章 炎症性疾患
6章 腫瘍性疾患
7章 代謝性疾患
8章 感染性疾患
9章 神経障害性疾患
10章 その他の疾患

Ⅶ編 人工股関節・人工骨頭治療学
1章 人工股関節および人工骨頭の歴史
2章 人工骨頭置換術
3章 初回人工股関節全置換術
4章 術後合併症とその対策
5章 コンピュータ支援手術
6章 再置換術

Ⅷ編 知悉便覧
1章 変形性股関節症の診断基準、病態・病期分類
2章 特発性大腿骨頭壊死症の診断基準、
3章 関節リウマチの診断基準、病期分類
4章 骨粗鬆症の診断基準、治療開始基準
5章 臨床評価基準
6章 健康関連QOL評価基準(疾患特異的尺度)
7章 股関節でよく用いられるX線学的指標
8章 股関節でよく用いられる分類
9章 人工股関節関連の指標と分類
10章 人工股関節一覧表
11章 日本における股関節データベース研究レジストリー
12章 股関節におけるリハビリテーション医学・医療の活用 ―活動を育む医学・医療―

執筆者一覧

■監修
日本股関節学会

■総編集
菅野伸彦  大阪大学招へい教授
久保俊一  京都府立医科大学特任教授

■編集(50音順)
稲葉裕   横浜市立大学整形外科教授
神野哲也  獨協医科大学埼玉医療センター整形外科教授
杉山肇   神奈川リハビリテーション病院病院長
中島康晴  九州大学整形外科教授

■作画・イラストレーション
徳永大作  京都府立城陽リハビリテーション病院病院長

■執筆(50音順)
新井祐志  京都府立医科大学スポーツ・障がい者スポーツ医学准教授
安藤渉   関西労災病院整形外科管理部長
泉聡太朗  広島県立総合リハビリテーションセンター
稲葉裕   横浜市立大学整形外科教授
上島圭一郎 京都地域医療学際研究所がくさい病院病院長
上村圭亮  大阪大学運動器医工学治療学講師
内山勝文  北里大学医学部医療安全・管理学研究部門教授
遠藤裕介  川崎医科⼤学脊椎・関節整形外科准教授
大谷卓也  埼玉成恵会病院整形外科・関節外科センター長
大庭真俊  神奈川県立こども医療センター整形外科
大橋弘嗣  大阪府済生会中津病院人工関節センター顧問
加来信広  大分大学整形外科教授
加畑多文  金沢大学整形外科准教授
北純    赤石病院整形外科部長
久保俊一  京都府立医科大学特任教授
古賀大介  さいたま赤十字病院整形外科部長
小林直実  横浜市立大学附属市民総合医療センター整形外科准教授
斎藤充   東京慈恵会医科大学整形外科教授
坂井孝司  山口大学整形外科教授
坂越大悟  厚生連高岡病院整形外科
佐藤龍一  神奈川リハビリテーション病院整形外科
庄司剛士  広島大学人工関節・生体材料学
白井寿治  京都府立医科大学整形外科准教授
神野哲也  獨協医科大学埼玉医療センター整形外科教授
菅野伸彦  大阪大学招へい教授
杉山肇   神奈川リハビリテーション病院病院長
瀬川裕子  東京科学大学病院整形外科講師
髙尾正樹  愛媛大学整形外科教授
高木理彰  山形大学整形外科教授
高窪祐弥  ⼭形⼤学リハビリテーション部准教授
高平尚伸  北里大学整形外科教授
崔賢民   横浜市立大学整形外科准教授
津田晃佑  住友病院整形外科診療部長
土屋弘行  横浜栄共済病院病院長
中島康晴  九州大学整形外科教授
中原一郎  大阪南医療センター整形外科医長
中村琢哉  富山西総合病院整形外科
中村宣雄  協和会病院副院長
西山隆之  加古川中央市民病院整形外科部長
芳賀信彦  国立障害者リハビリテーションセンター総長
馬場智規  順天堂大学整形外科先任准教授
濵井敏   九州大学人工関節生体材料学准教授
濱田英敏  大阪大学運動器医工学治療学准教授
原俊彦   飯塚病院整形外科部長
福島健介  北里大学整形外科講師
藤田健司  石川県立中央病院整形外科診療部長
藤巻洋   横浜市立市民病院整形外科部長
本間康弘  順天堂大学整形外科准教授
松下洋平  東京慈恵会医科大学整形外科
馬庭壯吉  島根大学リハビリテーション医学教授
三木秀宣  大阪医療センター整形外科部長
三谷茂   川崎医科大学脊椎・関節整形外科教授
宮武和正  東京科学大学病院整形外科講師
安永裕司  広島県立総合リハビリテーションセンター名誉所長
山崎琢磨  呉医療センター整形外科部長
山本卓明  福岡大学整形外科教授
山本豪明  聖マリアンナ医科大学整形外科准教授
山本憲男  金沢大学整形外科臨床教授
雪澤洋平  横浜市立大学附属市民総合医療センター整形外科講師
若林健二郎 名古屋市立大学医学部附属みらい光生病院整形外科教授
和田郁雄  愛知淑徳大学健康医療科学部教授

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