スペシャリストの視点で斬る 糖尿病治療薬のエビデンス

  • 未刊
定価 4,950円(本体 4,500円+税10%)
能登洋
聖路加国際病院内分泌代謝科、東京科学大学医学部
A5判・278頁
ISBN978-4-7653-2016-0
2024年12月 刊行
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★2024年11月下旬 発売予定!★

エビデンスに使われないために! 真のEBMへの第一歩。

内容紹介

糖尿病治療は日進月歩で新たなエビデンスが続々と発表されていることはご存じのとおりです。しかし、金銭的・学術的・政治的利益相反による「エビデンス商法」や「エビデンス・プライド」などの煽りを受け、医療者が逆にエビデンスに使われてしまっていることが少なくありません。

そこで、批判的な視点で糖尿病治療薬のエビデンスを紐解き、EBMや統計学のピットフォールを知ることでエビデンスを、患者さんに最適な診療を提供するために医療者がエビデンスを使いこなせることを目的としています。

本書は医療従事者向けサイトm3.comで著者が長年糖尿病治療におけるエビデンスの正しい読み方・使い方を解説してきた連載を、アップデートと総括を行ったうえで再録し、糖尿病・代謝領域におけるEBMの正しい理解と実践に役立つように書籍化しました。書籍化に際しては連載時と変わらず、統計学的解説には難解な数式を用いず、比喩やことわざ・成句を多用して読みやすい体裁となっています。

序文

皆様、エビデンスに使われていませんか?エビデンスは、患者さんに最適な診療を提供するために医療者が使いこなすツールです。しかし、金銭的・学術的・政治的利益相反による「エビデンス商法」や「エビデンス・プライド」などの煽りを受けて、医療者がエビデンスに使われてしまっていることが少なくありません。EBMや統計学のピットフォールに陥ってエビデンスの使い方を間違えると、誠意に基づいた診療であっても情けが仇となってしまいます。エビデンスは結果を鵜呑みにするのではなく、その質と限界点も自分の目で確かめて鑑定することが重要です。

このような現状をふまえ、私は医療従事者向けサイト『m3.com』に糖尿病診療の紹介目的を含めてエビデンスの正しい読み方・使い方を連載してきています。連載開始から6年以上経過し、この間に糖尿病の治療法やそのエビデンスが急増してきました。そこでこのたび、既掲載記事のアップデートと総括をし、糖尿病・代謝領域におけるEBMの正しい理解と実践に役立つように書籍化しました。連載記事と同様に、統計学的解説には難解な数式を使わず、比喩やことわざ・成句を多用してどなたにもわかりやすいように解説しています。

本書の読者の方がご自身でエビデンスを適切に読んで使えるようになり、明日からの診療においてEBMを有効に実践されることを祈念しております。

【補遺】
この書籍は医療従事者向けサイトm3.comでの連載 「スペシャリストの視点―糖尿病・代謝」 をまとめたものです(2018年3月5日から2024年5月20日まで掲載分)。m3.com連載の企画と単行本化への許諾をしてくださったm3.comの小島領平様、本著の編集を担当してくださった金芳堂の山下祐介様に深謝いたします。

目次

総論:エビデンスを知る!EBMと糖尿病診療の実際について理解する

➀EBM
(1)EBMとは
(2)エビデンスの読み方・使い方
(3)EBMのワナ
(4)診療ガイドラインの読み方・使い方

➁糖尿病診療
(1)糖尿病治療目標・方針
(2)糖尿病治療薬の特徴・使い方

各論:エビデンスを斬る!糖尿病診療を正しく導くエビデンスの批判的吟味とその活かし方

➀糖尿病治療
(1)統合的管理目標値
1-1-1 朝三暮四に注意
1-1-2 骨折り損のくたびれ儲け?

(2)血糖管理
1-2-1 継続は力なり?
1-2-2 因果律?
1-2-3 十把一絡げ?
1-2-4 理論vs現実
1-2-5 新旧薬の相克?
1-2-6 大山鳴動して鼠一匹
1-2-7 親の欲目に注意!
1-2-8 玉石混交
1-2-9 看板に偽りあり?
1-2-10 おとり商法に注意!
1-2-11 ソフトエンドポイントの罠
1-2-12 追試結果はいかに?
1-2-13 エビデンスに使われないための護身術
1-2-14 一石二鳥のエビデンス?
1-2-15 過剰期待は禁物
1-2-16 ”不純物”混入に注意
1-2-17 臨床試験は臨床「試合」!?
1-2-18 高齢者糖尿病でのトレードオフ?
1-2-19 新薬同士の相克?
1-2-20 あばたもえくぼ
1-2-21 後出しジャンケン!
1-2-22 ゆるゆるの判定基準
1-2-23 二次エンドポイントはオマケ
1-2-24 半信半疑
1-2-25 幻の製剤
1-2-26 ゴーストライター・パンデミック?
1-2-27 似非エビデンスにご用心
1-2-28 過ぎたるは猶及ばざるが如し
1-2-29 バーチャル総対決!?
1-2-30 雨後の筍!

(3)血圧管理
1-3-1 血圧計のワナ
1-3-2 病は気から?
1-3-3 美辞麗句に注意!

(4)脂質管理
1-4-1 大規模研究≒小規模効果
1-4-2 リアルワールドデータの限界
1-4-3 「残余リスク」に残された夢はあるか?

(5)尿酸管理
1-5-1 犯人?傍観者?

➁糖尿病併存症
(1)がん
2-1-1 理論の限界?
2-1-2 過剰期待に注意
2-1-3 因果逆転?

(2)認知症
2-2-1 認知機能障害との格闘?

(3)骨折
2-3-1 たかが骨折、されど骨折?

執筆者一覧

■著
能登洋 聖路加国際病院内分泌代謝科、東京科学大学医学部

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