こんな病気だったのか… 見逃されているかもしれない重要疾患の診療

  • 未刊
定価 3,520円(本体 3,200円+税10%)
編著山中克郎
諏訪中央病院総合診療科
A5判・148頁
ISBN978-4-7653-2046-7
2025年03月 刊行
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★2025年3月下旬 発売予定!★

よくある病気だが見逃されている重要疾患を中心に、内科診療の知識をアップデート!

内容紹介

若手医師・開業医向けのユニークな試みとして、診断がうまくできていないケースをまとめ、内科診療で大切なこと、よくある病気だが見逃されている重要疾患を中心に、日常診療でよく遭遇するにもかかわらず、見逃されている可能性がある疾患を、1冊にまとめました。

本書は、「慢性頭痛と倦怠感」「6か月も続く下痢」「39℃の発熱と頭痛」等のケースから、実際の臨床の疑似体験ができるよう、CASE FILEごとに「考察」「その後の経過」「最終診断」と順を追って紹介、内科診療の知識をアップデートできるような紙面構成となっています。

著者の臨床経験やテクニック、哲学がふんだんに盛り込まれているので、どのような点に注意すれば素早く診断ができ、適切な治療に結びつけることができるようになるのか、臨床能力を高めるために非常に役立ちます。

序文

医師としてのキャリアの終盤にさしかかり、ヒポクラテスの「芸術は長く人生は短し(Ars longa vita brevis)」という言葉をしみじみと噛みしめるようになりました。医学の道を極めるのは本当に大変です。医師として40年働いているにもかかわらず、いまだに誤診し診断に戸惑うことがあります。何歳になっても、自らの未熟さを忘れず初心にかえり学び続ける姿勢が大切です。医学の進歩は日進月歩ですから、勉強しなければすぐに最新医療から取り残されてしまいます。

しかし、すべての医学論文に目を通すことは不可能ですし、忙しい臨床の隙間時間に有名な内科書を通読する時間は残念ながらありません。学問に王道はありませんが、効率的な勉強法はあります。できるだけ多くの教育症例から、たくさんのことを学ぶことです。現場での体験(On the Job Training:OJT)が臨床能力の向上に重要です。自分が経験できる症例は限られていますから、教育的な症例をたくさん見聞きし擬似体験を重ねるべきです。常に謙虚に振る舞い、優秀な若手医師から学ぶことも大切です。

本書では、最初に症状や身体所見からどのように診断を絞り込むかについての原則を示しました。しかしながら、診療をしていると、この原則だけで診断ができるわけではないことに気づきます。よくある疾患で典型的な症状があれば、診断は容易です。まれな疾患でも症状が典型的なら、情報を検索すれば診断は可能です。頻度が少ない疾患で症状が非典型的なために診断が難しい場合は、患者数が非常に少ないので大きな影響はないかもしれません。頻度の高い病気でありながら、非典型的な症状のため診断ができなかったということはできるだけ避けたいです。実は、このようなケースはたくさんあるのではないかと考えています。

本書では、日常診療でよく遭遇するにもかかわらず、見逃されている可能性がある疾患を集めてみました。諏訪中央病院には非常にモチベーションが高く、優秀な若手医師がいます。この新進気鋭の医師たちに協力をしてもらい、今回このようなユニークな本を作ることができました。どのような点に注意すれば素早く診断ができ、適切な治療に結びつけることができるかの参考にしていただければ幸いです。この本が皆さんの臨床能力を高める上で役立つことを心から願っています。

2025年3月
雄大な八ヶ岳を眺めながら
編集責任者 山中克郎

目次

第1章 内科診療で大切なこと

1)診療の心がまえ
2)患者の心をつかむ
3)診断推論の立て方

第2章 CASE FILE よくある病気だけど見逃されている重要疾患

1 全身がかゆい
CASE FILE 40歳男性
考察
その後の経過
最終診断

2 慢性頭痛と倦怠感
CASE FILE 29歳男性
考察
その後の経過
最終診断

3 歩きにくく、両脚がしびれる
CASE FILE 79歳男性
考察
その後の経過
最終診断

4 暴言を吐く男性
CASE FILE 70歳男性
考察
その後の経過
最終診断

5 めまいが治らない
CASE FILE 33歳女性
考察
その後の経過
最終診断

6 疲れがとれない
CASE FILE 34歳女性
考察
その後の経過
最終診断

7 発熱時の倦怠感と頭痛
CASE FILE 52歳男性
考察
その後の経過
最終診断

8 39℃の発熱と頭痛
CASE FILE ① 24歳男性
CASE FILE ② 54歳男性
考察
最終診断

9 6か月も続く下痢
CASE FILE 53歳男性
考察
その後の経過
最終診断

10 食欲がなくめまいがする
CASE FILE 78歳男性
考察
その後の経過
最終診断

11 あちこち痛い
CASE FILE 65歳女性
考察
その後の経過
最終診断

12 腰曲がりの高齢女性
CASE FILE 85歳女性
考察
その後の経過
最終診断

13 頻尿と尿失禁
CASE FILE 76歳女性
考察
その後の経過
最終診断

14 両下肢の浮腫と発赤
CASE FILE 82歳女性
考察
その後の経過
最終診断

15 左半身の異常感覚
CASE FILE 21歳女性
考察
その後の経過
最終診断

執筆者一覧

■編著
山中克郎 諏訪中央病院総合診療科

■執筆者一覧
司馬煕  諏訪中央病院リウマチ膠原病内科
中村考志 国保依田窪病院総合診療科
瀧宮龍一 諏訪中央病院総合診療科

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