本書の特徴
無料で、一番長く使える統計ソフトRのわかりやすいマニュアル
臨床研究をはじめるにあたって、統計学の知識は必須です。おそらくあなたは既に統計学のスタンダードな教科書、あるいは「わかりやすい」を謳った参考書などを既に手にしていることでしょう。後者であれば、もしかしたら統計ソフトのマニュアルもついているかもしれません。
どんなソフトであっても簡単な統計処理はできるので、最初にやってみたらと言われるような2群の比較や相関の分析程度ならそれで用は足りるでしょう。しかし、もしあなたがt検定やU検定だけでなく、将来的に高度な疫学やリアルワールドデータをつかった疑似実験(リアルワールドデータ臨床研究)をしようと思っているのなら一番有力な解決策はR言語を最初から覚えてしまうことです。なぜならRは無料なので、あなたが所属している機関が高額な統計ソフトを買ってくれなくても絶対に使え、かつ極めて高度な、最新の統計解析であっても、有志によって開発されたパッケージによって、スムーズに分析する手立てがあるからです。
しかしそんなRにもすっぴんのままでは弱点があります。操作法や利用法があまり直感的ではないのです。じつは、いわゆるデータサイエンティストと呼ばれる高度な統計解析に習熟している人であってもめったに素っぴんのRは使いません。
RのヘビーユーザーたちはRStudioというソフトを介してRによる分析を行うのが主流なのです。RStudioはR言語のIDE(開発環境)です。エディタ,コンソール、グラフなどを1つの画面内で確認できるほか、データ分析プロジェクトを進めるために役立つ機能が豊富に用意されています。
本書はRStudioの基本的な機能を解説したあとに,臨床研究のワークフローを一通り解説していきます。パッケージの準備(3章)、データの整形(5章)、可視化(7章)、具体的な分析(8章~)など、臨床研究に欠かせないこれらの要素の基礎を押さえることができます。
本書では入力すべきコマンドを示すだけでなく、実際の出力結果もきちんと提示しているので、個々の操作がうまく行っているかR初心者にわかりやすい形式となっています。
こんな方におすすめ
臨床医、看護師など臨床研究を始めようとしている方。臨床研究はすでに経験があるが、Rの使い方がわからないかた